そろそろ冬の風物詩、「ボジョレ・ヌーヴォー」の解禁日が近づいてきた。今年は11月19日だ。フランス南部ブルゴーニュ地方のボジョレ地区で、その年に収穫された「ガメイ種」というぶどうから造られる新酒を「ボジョレ・ヌーヴォー」と呼ぶ。時差の関係上、日本は本国フランスよりも約8時間早く解禁になるのだとか。
そんな蘊蓄はさておき、旬のものが好きな日本人の多くは、「ボジョレ・ヌーヴォー」に対しても並々ならぬ関心を持っている。行きつけのお店で開栓を楽しみにしているお客さんも多いのではないだろうか。
旬といえば、最近よく耳にする「ヴィーガン」。肉や魚、卵・乳製品など、動物系素材を避けた生活様式を実践する「完全菜食主義者」を指す。アレルギーや病気という健康志向や、宗教、環境保護といったさまざまな考えにより、ヴィーガンを実践する人は多い。
「ベジタリアン」との違いは何か? というと、ベジタリアンは菜食主義の大分類だ。その下に完全菜食主義者のヴィーガンや、乳製品のみ摂取するラクト・ベジタリアン、卵製品のみ摂取するオポ・ベジタリアンなど、色々な小分類がある。
難しいことはさておき、飲食店ではヴィーガン基準に合わせれば、基本的にどの主義にも対応できる。日本でも週に1度は植物性の食事にする「ゆるベジ」を実践する人も増え、ベジタリアンやヴィーガンは身近な存在になりつつある、まさに旬な主義だ。
そんな折、ボジョレ・ヌーヴォー解禁とヴィーガンという、まさに「旬×旬」な話題が飛び込んできた。
サッポロビールは今年、ラブレ・ロワ社のボージョレ・ヌーボー14アイテムをラインナップ。そのうちヴィーガンに対応したボジョレー・ヌーヴォー、4品種5アイテムを用意した。
「いちいち宣言しなくても、ワインの原料はぶどうだから、元からヴィーガン対応なのでは?」と思う人は多いのではないだろうか。
実は、ワイン醸造において清澄化(浮遊物を取り除き、濁りを取る)の工程で、動物由来のゼラチンや卵白、カゼイン(乳原料のたんぱく質)などを使っている場合があるのだ。
今回発売する〈パラ・ヒメネス〉は、動物由来の素材を使わず、ベントナイト(海底や湖底に堆積した火山灰や溶岩が変質することでできた粘土鉱物の一種)や珪藻土など非動物由来のものを使用し、時間をかけて濁りを沈殿させて造られたもの。
ヴィーガンの人はもちろん飲食店にとっても、動物性素材を使っていないワインかどうかを知る術は、メーカーの情報公開やヴィーガン認証マーク以外にはないのが現状だ。ヴィーガン対応のボジョレ・ヌーヴォーなら、食の制限がある人もない人も、一緒に楽しめる。
そのほか、同社が発売するオーストラリアワイン「イエローテイル」やフランスワイン「タリケ」なども、順次ヴィーガン対応に切り替えていく予定だという。
2020年4月に観光庁が刊行した「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」によると、訪日ベジタリアン等旅行者は145万~190万人/年おり、飲食費は約450億~600億円/年の規模と推計される。
コロナ禍でインバウンドは減少しているものの、国内在住の外国人にはベジタリアンの人も多い。また、現時点では来年に東京オリンピック・パラリンピックを開催予定で、外食におけるヴィーガン対応の潜在需要は大きいといえる。
2020年4月観光庁「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001335459.pdf
店にこれらのヴィーガンワインを揃えておけば、ヴィーガンやベジタリアンが安心してワインを楽しめるし、口コミなどで広まる可能性も高い。まずはどんな味なのか、試しに仕入れてみるのもいいかもしれない。
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