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あなたもスコッチ樽のオーナーになれる! いま注目のカスク投資とは?【クレア・ライフ・パートナーズ】

2023年8月16日 10:13 am

 世界的な景気の不安定感から、実物資産への注目が高まる中、英国をはじめ香港、シンガポール、オランダ、中国、台湾、ドイツ、アイルランドなどでウイスキーカスク(樽)を投資商品とする「カスク投資」が広がりを見せている。そして日本でも、このカスク投資がじわりと注目を集め始めているという。カスク投資とはどういうものなのかを見てみる。(2023年「日本外食新聞」7月15日号掲載)

40万円から購入でき
成長率は年10%以上

 日本では、2021年10月から、資産運用のコンサルティングなどを手掛けるクレア・ライフ・パートナーズ(東京・新宿、工藤将太郎社長、以下クレア社)が、英国のスコッチウイスキーサプライヤー(ウイスキー樽の管理企業)のほぼ全社と契約したことで、スコットランドの約130以上の蒸留所のうち、100以上の蒸留所のウイスキー樽を取り扱えるようになり、気軽にカスク投資できるようになった

 では、ウイスキーのカスク投資とはどういうものなのか。それは、英・スコッチウイスキー(または米・バーボン)の樽を1樽ごとで購入し、その樽のオーナーになるというものだ。

クレア社が購入した樽のスコッチを瓶詰したもの

 樽を購入したオーナーは、将来、そのウイスキー(樽)の資産価値が上昇したタイミングで売却して売却益を得たり、酒類販売業免許があれば、ラベル、キャップシール、箱などイメージにあわせたデザインの瓶に詰めてオリジナルウイスキーとして販売したり、周年記念のプレゼントにしたりもできる。飲食店やバーの場合は、店舗でオリジナルウイスキーとして提供するという使い方もできる

 購入から売却までの間は、24時間体制のセキュリティで歴史上盗難の報告が一度もないという、英国内国歳入関税庁に登録されている保税倉庫で樽を保管。ウイスキーの専門家が定期的に樽の状態をチェックし、徹底的な品質管理が行われるため、煩雑な管理業務は一切不要だ。

 ただし、20年以上と熟成期間が長い樽の場合、徐々に容量が減りアルコール分も下がる。そしてアルコール分が40%を下回るとスコッチと呼べなくなるため、年に1度、1万円程度の実費を支払って計測した方が安全だという。また、保税倉庫が倒産した場合も樽の所有権は英国政府発行の登録番号で管理されているため資産に影響はなく、場合によっては他の保税倉庫で引き続き保管される。万が一、所有する樽に損害が生じても、保険により同等の価値程度のウイスキー樽との交換や損害保険金で補填される。

カスク投資のセミナーなども実施

 実物資産はインフレに強いと言われており、同社のカスク投資も10年以降、年間資本成長率は毎年10%以上を維持しており、直近では14%値上がりしている。平均購入単価を見ると、約5000~2万ポンド(1ポンド156円換算で約75万~300万円)の樽が全体の約70%を占め、最低価格は40万円と手頃感のある投資商品だ。ただし、購入時と売却時の為替の影響は受ける。そして、株のような配当はないので、売却するまで利益が出ず、高利息を期待して預ける貯金のようなイメージとなる。樽の価値が棄損されれば当然マイナスになるが、これまでそのようなことは起きたことがないという。

 同社では特設サイトhttps://cask-investment.com/で購入できる樽の写真と蒸留所、地域、樽詰した年月日、熟成年数、樽種別、アルコール度数、内容量、ボトル換算数などをチェックできるようにしている。気に入った樽があれば購入を依頼し、購入が決まりクレジットカードなどで支払うと、後日、登録番号を付与した所有権証明書が送られてくる。

サイトで掲載されているカスク

 同社取締役の荒谷友樹さんは「現在、ウイスキーの価値だけでなく、樽自体が少なくなっているため両方で価値が上がっている。熟成期間が長いものほど価格は上がる傾向だが、注意すべきは熟成期間と味とは比例しないこと。一定の期間を過ぎると味が落ちる可能性もあるという。また、1~2本だけ味見用としてボトリングすることも可能だが、量が減ればその分価格も下がる」と説明する。

 これまで荒谷さんが確認した最高額の樽は約6億円だったという。また、価格上昇の一例としては、〈マッカラン1998〉が4年で238.4%増(年平均59.6%)、〈ボウモア1990〉が3年で155.7%(年平均51.9%)などがある。購入する際には、本体価格の10%を手数料としてクレア社に支払う。

新宿に直営バー運営
セミナー等の開催も

 クレア社は、JR新宿駅西口から徒歩3分のビルに直営のバーダイニング「BAR FIVE Arrows」(営業時間18~翌2時)を運営している。鏡張りの扉を開くと、カウンター後ろの壁に飾られた緑が目に飛び込み、店内にはレアウイスキーや現代アート作品が並べられたディスプレイが設置されている。また、大理石のカウンターやソファーシート、一枚板のウッドテーブルなどこだわりの調度品で、落ち着きのある空間を演出している。

《BAR FIVE Arrows》の内観

 飲食店が多い新宿駅西口には、意外にも終電後も営業している大人向けのバーが少ない。そこで昨年10月にオープンしたところ、ホテルに泊っている外国人やビジネスパーソンなどの受け皿になっているという。

 ドリンクはロスチャイルド家系列のものを中心としたワインやウイスキーなどのほか、同店の支配人兼バーテンダーの村上雄基さんが得意とするオリジナルのフレッシュフルーツカクテルが売りとなっており、多くのファンを抱えている。また、同社がカスク投資で購入したウイスキーを瓶詰にして、店内で提供している。

〈鴨のロティ ブラッドオレンジの
ソース〉

 料理にも力を入れており、〈シラスとからすみのペペロンチーノ〉1780円や〈ハンギングテンダーロインビーツのフライ〉2750円、〈鴨のロティブラッドオレンジのソース〉1600円などの単品のほか、料理5~6品の「ショートコース」7700円と、それに4400円追加するとワインまたはカクテルをペアリングで提供するコースを用意し、気軽にコース料理を楽しめるようにしている。

売りの1つであるオリジナルの
カクテル

 同店はバーとして以外にも、カスク投資やワイン、美術品などのセミナーや各種イベント、パーティーなどさまざまに活用できる拠点としての機能も有している。同店の住所は東京都新宿区西新宿1‐13‐1今佐ビル6階。