飲食業界に特化した人材紹介サービス大手のクックビズ(大阪・梅田、藪ノ賢次社長)は、9月2日から一般社団法人大阪外食産業協会(以下、ORA)と共同で「外食産業・サービス産業の人材課題解決」の一手となるPEO(Professional Employer Organization/共同雇用)実現に向けた実証実験を大阪なんばエリアで始める。
PEOとは、アメリカなど先進国で広く用いられているアウトソーシングの新しい形態で、繁閑対応のためのフレキシブルな人員調整だけでなく、「人件費の変動費化」と「特定業種の経験がある人材の雇用維持」という相反するニーズを同時に実現する仕組み。勤務先企業とPEO会社の双方との二重の雇用関係を維持する米国版PEOは、日本の現行法では認められておらず、実現するには労働者派遣法の改正などの規制緩和が必要となる。
そのため今回の実証実験では、クックビズが提供するシフト管理アプリ〈CAST〉上でORA会員飲食店同士がヘルプ人員をマッチングし、人材の効率的な流動化を図る。それでも人員が不足する場合は、同社が保有する人材データベースの中からエリア内で就業可能な人材を探しキャスティングすることで現行法に抵触しないようにした。
実証実験は9月2日からの2カ月間で、ORA正会員企業の店舗が多い大阪なんばエリアで実験への参加表明をしている飲食企業5社の10店舗で行う。流動可能性がある人員は約100人を予定しており、同取り組みに参加するアルバイトスタッフも募集するという。
同社は「PEOが日本でも可能になると、個々の飲食店から間接部門の負担がなくなり本来の飲食店運営に専念できる。企業規模が大きくなることにより、福利厚生などの充実や、非正規から社員登用の促進などの効果も期待できる。この実証実験の結果を元に企業間で人材が流動する際の課題や改善点の抽出を行い、実現可能な運用方法を見つけ出し、法的にも問題がなく企業が導入できるよう、政府や公的機関に提言活動を行っていく」と説明する。