「和牛」の98%を占める黒毛和牛は、筋肉の中に細かく網目状に入った脂(サシ)が特徴で、霜降りの度合いによって牛肉の肉質等級が決まるなど、霜降りは高級牛肉の代名詞でもある。しかし、その価値観が少しずつ変わっているのかもしれない。
プレジデント社が運営する食の総合メディア「dancyu」のシンクタンクdancyu総合研究所が、「dancyu」の読者組織「dancyu食いしん坊倶楽部」のメンバーを対象に牛肉に対する嗜好をインターネットで調査したところ、赤身肉派が全世代で上回り、合計では霜降り肉派の3倍以上という結果になったのだ。
同調査で、「赤身主体の牛肉とサシの多く入った霜降りの牛肉のどちらが好きか」を問うたところ、赤身派が半数を超えた。赤身主体の肉を好む理由の大半は「肉の旨味が感じられるから」(40代・女性・東京)、「とろける食感よりしっかり噛む方が好み。旨味を感じやすい」(40代・男性・東京)に代表される、しっかりとした食感と肉の旨味に対する支持だった。
一方、霜降り支持派は、「柔らかくジューシー。上品な甘さのある脂が口の中でとろける」(60代・女性・茨城)、「脳に直接届く脂の旨み甘みは幸せの味」(40代・男性・東京)と柔らかでジューシーな食感と脂の甘みに軍配を上げた回答が目立った。
また、世代別にみると、赤身支持派と霜降り支持派の比率に大きな違いが見られた。どの世代を通じても赤身支持派が霜降り支持派を上回ったものの、若い世代ほど赤身支持派の比率が高く、年齢が上がるほど霜降り支持派が巻き返した。
同社では、「飼育頭数が少なく希少な赤身主体の日本短角種と褐毛和種に対する関心が高まっている点も、霜降り肉から赤身肉への嗜好変化と重なっている」とした。同調査は「dancyu食いしん坊倶楽部」の10~70代以上のメンバーを対象にインターネットを通じて4月26日~5月6日に実施され、931人(男性457人、女性471人、どちらでもない3人)から回答を得た。