日本酒〈東光〉を醸造する小嶋総本店(山形・米沢、 小嶋健市郎社長)は、日本酒の製造における二酸化炭素の排出量を実質ゼロとし、日本酒の酒蔵としては東日本初となるカーボン・ニュートラル化を達成した。これを記念して12月8日、自然に優しいエネルギーで醸した〈東光 with green(ウィズグリーン)〉(商標出願中)を発売した。
同社は創業以来400年以上、米沢の地で日本酒を造っており、次世代に地域性のある味わいを継承するべく「自然と共生する酒造り」を社是に掲げている。その実現のため、2020年には輸入原料由来の醸造アルコールを廃し、全量純米蔵とした。さらに、米ぬかを農業者の肥料や飼料として提供し、副産物の酒粕を蒸留したリキュールを開発するなど原料由来の廃棄物を出さない酒造りを実現した。
また、契約農家と協働で自動抑草ロボットを活用した農薬不使用米の栽培、日本酒の製造などにも取り組んでいる。そして23年2月に、酒かすを活用したバイオガス発電による再生可能エネルギーに切り替え、9月にそれらの活動の成果としてカーボン・ニュートラル化を達成した。
今回発売した〈東光 with green〉(720ml・アルコール分15度、希望小売価格1540円)は、精米歩合90%という磨かない米を用いることで、原料効率とエネルギー効率を高めた。バナナや熟したリンゴを思わせる豊かな味わいとともに、精米歩合の低さを感じさせないすっきりとしたフィニッシュが特徴。また、ラベルには食用に適さない古米や破砕米などを原料にした紙を使用することでフードロス削減に貢献し、インクは植物性のベジタブルインキを使用するなど、パッケージでも環境に配慮した商品となっている。