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飲食店の65%が時短協力金により「黒字化」【シンクロ・フード調べ】

2021年9月24日 4:14 pm

 飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」を運営するシンクロ・フードは8月25~26日、物件情報サイト「飲食店.COM」の会員433人を対象に、コロナ禍の飲食店に対する財政支援と資金繰りの状況について調査を実施した。

■コロナ禍の資金繰り、徹底した「経費削減」と「協力金活用」がベースに

 現時点で営業時間短縮要請が出されている地域にあるかについては、97%が「はい」と回答。時短要請に伴う感染拡大防止協力金の申請をしたことがあるかに対しては、90.3%が「申請したことがある」と答えた。

 協力金の支給状況について、最も多かったのは「2021年6月までの要請期間分が振り込まれている」との回答で30.7%。以降は「5月分まで(24.6%)」、「4月分まで(16.1%)」、「7月分まで(12.8%)」という結果だった。

 これまでに支給された協力金のおおよその総額については400~600万円台が最も多く、約27.3%。続いて700~900万円台、1000万円台がいずれも約19.9%、100~300万円台が約15.9%という結果になった。

 協力金を補填したうえでの7月の収支結果については、65%が「黒字」だったと回答。黒字化した理由について最も多かったのは「協力金の支給」で87%。

 次いで「人件費や食材費などのコスト削減による効果(28.3%)」、「テイクアウトやデリバリーの売上利益(20.1%)」と続いた。

 次に、これまで活用したことのある新型コロナウイルス関連の融資制度について複数回答で聞いてみると、最多は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」との回答で、43.6%だった。

 続いて「セーフティネット保証4号・5号(29.1%)」、「特別利子補給制度(18.9%)」となった。一方で、「融資を受けたことはない(39.7%)」という回答者も4割近くいた。

 これまでに得た融資金のおおよその総額について尋ねたところ、「5000万円以下」との回答が最も多く33%。以降は「400万円以下(19.2%)」、「1000万円以下(18.8%)」、「700万円以下(15.3%)」となった。

■協力金・融資金、9割の飲食店が「固定費の支払い」や「食材の仕入れ」などに充当

 支給された協力金や融資金の主な用途について伺うと、「既存店舗の運転資金(食材の仕入れや固定費の支払いなど)」との回答が86.5%と最多に。次いで「雇用の維持(従業員への給与など)(45.4%)」、「プライベートの生活費(13.7%)」という結果になった。

 感染拡大防止協力金を除く給付金・助成金・補助金のうち、これまでに活用したことがあるものを複数回答で聞いたところ、81.1%が「持続化給付金」と回答し、さらに「家賃支援給付金(69.5%)」、「雇用調整助成金(新型コロナ特例)(42.7%)」と続いた。

 また、活用したことのある協力金以外の給付金・助成金・補助金のおおよその支給総額について自由回答で尋ねたところ、最多の回答範囲は100~200万円未満で約24.7%。次いで200~300万円未満が約18.2%、300~400万円未満が約13%という結果になった。

 続いて、長引くコロナ禍において閉業・閉店を検討したことがあるか、または今現在検討しているか聞いたところ、66.3%が「閉業・閉店を検討したことはない」と回答。一方で、26.3%は閉業について考えていることも明らかとなった。

 「すでに閉業・閉店した」または「閉業・閉店を検討したことがある」と回答した人のうち、7月の収支結果が「赤字」だった割合は約42.5%(「検討したことはない」の赤字率は約26.1%)、協力金の支給状況については「5月までの要請期間分が振り込まれている」が最多という結果だった(「検討したことはない」では「6月まで」が最多)。

  閉業・閉店の際に想定する対応を尋ねると、最も多かったのは「居抜き売却(52.1%)」、次点は「スケルトン返し(24.7%)」。また、少数ではあったものの「M&A(株式譲渡・事業譲渡など)(8.2%)」との回答も寄せられ、そのすべてが運営店舗数1~5店舗の小規模な飲食店であることも判明した。