調査・統計特集

人手不足対策で重視すべきは採用率より離職率! キャリアパス示すことも有効!! 【リクルート&Indeed調べ】

2022年12月5日 2:05 pm

 リクルートが、求人情報検索エンジンを運営するIndeedと共に飲食業界の雇用動向と今後の見通しをまとめた調査結果によると、現在の人手不足が深刻化する状況下では、採用率より離職率を重視することがポイントとなり、離職させないためには従業員の身体負荷の軽減と昇給・昇進などのキャリアパスを示すことが重要であることが示された。

 フード系の首都圏・関西圏・東海圏の三大都市圏のアルバイト・パート募集時平均時給は、4 月以降、過去最高額を更新し続けているものの、他職種と比べるとまだ低い水準にあり(2022 年10 月度は職種計1151 円、フード系1088 円)、人材確保のためには今後も時給引き上げが続くと予想される。

 そんな中、リクルートのジョブリサーチセンター(JBRC)とホットペッパーグルメの調査データとIndeedの求人・検索データを基に、それぞれの担当者が人手不足の現状と今後の見通し・対策について解説した。

 最初にIndeedのフード関連検索数を属性別にした調査結果を見てみると、「シニア」はコロナ前から高い水準で横ばいに推移する一方、今年に入ってからは「高校生」が急増。Indeed Hiring Labエコノミストの青木雄介さんは「コロナ禍が落ち着いてきた中でこれまで働けなかった高校生が小遣いを稼ぐため、隙間時間のアルバイトなども活用して積極的に仕事を探し始めている」と現状を説明した。

 また、JBRCは今回、飲食業の「就業者」「離職者」と「意向者(これまで飲食業で働いたことはないが働くつもりがある)」「非意向者(これまで飲食業で働いたことはなく今後も働くつもりはない)」の4つに分け、全国の20~64歳の男女1600人(各 セグメント400人ずつ)にアンケート調査を実施した。

 この結果を見ると、飲食業は「多くの人と交流できる」「人から感謝される」「仕事にやりがいがある」「未経験でも仕事ができる」といった点が魅力となっている一方、「体力的にきつい仕事が多い」「給与水準が低め」「新型コロナウイルスで経営面の影響を受けやすい」といった点がネガティブ要素の回答として寄せられた。また、就業者が辞めたいと思った理由や離職者の離職理由を見ても、給与や労働負荷に関する項目が上位を占めた。

 ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子さんによると「今働いている人が改善してほしい点と、離職理由の共通点が身体負荷の高さだった。また、就業者と離職者共に、辞めたい時の理由として、現在の賃金ではなく今後上がる見込みがないことを理由に挙げている。このほか、新形コロナの感染リスクを気にする人も多いことから、身体負荷をいかに軽減しつつ、昇給・昇格などのキャリアパスを示し、コロナ対策もPRすることが人材確保のポイントになる」と解説した。

 続いて、ホットペッパーグルメのデータを基に今年の忘・新年会の見通しについても検証。コロナ前と比べて「少人数化」の傾向は続いており、ホットペッパーグルメ営業マネージャーの赤嶺征志さんは「昨年と比べると回復傾向にはあるものの、厳しい状況が続いている。また、コロナ前であれば大皿で提供していたところを小皿に分けたり、半個室にする店が増えたりしたことから、従業員のオペレーションがより複雑化したことも負担を増す要因となっている」と指摘。デジタル化やDXを進めるなどの対策が必要になるとした。

 赤嶺さんは「2019年の忘・新年会は、11人以上が全体の4割を占めたが、去年は6.5%で、今年は現時点で11%となっている。昨年よりは増えているものの、まだまだ回復に至らない状況だ。また、予約件数は19年比で70%くらいまで回復しているものの、予約人数で見ると34%となっており、この点からも少人数化が見て取れる。ちなみに、コロナ禍で取り組む飲食店が増えたテイクアウトやデリバリーについては、利益を出せないことがわかり止める所が増えている」と現在の動向を説明。コロナ禍により客数は減りながらもオペレーションの負荷が高まっている状況が生じているという課題を示した。

 その対応策としては、モバイルオーダーやシフト管理システム、配膳ロボットなどを導入したり、夜よりも安い時給で雇える昼間のアイドルタイムにバイトを雇い仕込みをすることで、夜の人員を減らしたり、就業時間を短くしたりしてコストを抑えるなどの事例を紹介した。

 最近の飲食店の傾向として、求人すればすぐに人が集まる時代ではなくなったことから、「採用率ではなく離職率を重視するように変わった。以前は熟練したバイトが教育係としてキーパーソンになっていたが、今はスポットで入る素人のバイトが増えているため、熟練バイトの仕事を分解し、デジタルで代用できるものはデジタルに置き換え、初めて入ったバイトでもできる簡単な仕事のみのマニュアルを作成するなど、新人でも対応できる環境づくりに取り組んでいる企業もある」(赤嶺さん)という。

 赤嶺さんは最後に「掃除やレジ締めなど嫌がられることが多い仕事をシステムやロボットが請け負うことで従業員満足度が上がれば、スタッフは辞めなくなる。従業員満足度が上がれば顧客満足度も上がるというデータもあり、その結果、業績も上がる。自分の価値を発揮できる仕事であれば働き甲斐につながるため、ロボットやさまざまなシステム、サービスを導入することが離職率低下と売上向上につながるポイントなのではと考えられ始めた」として、離職率を減らす対策が今後の飲食店経営のポイントになるとの見解を示した。