外食産業関連の専門紙誌で構成し、本紙も加盟する「外食産業記者会」は、外食業界で活躍した人を表彰する「外食アワード2022」(特別協賛・焼肉ビジネスフェア事務局/居酒屋JAPAN事務局)を決定した。
「スシンジュク」などを運営するスパイスワークスホールディングス下遠野亘社長をはじめとする外食事業者4氏、中間流通・外食支援事業者2氏の計6氏を選出した。
外食アワードは外食産業記者会の創立25周年の記念事業として始まり、今回で19回目を迎える。
「外食アワード2022」の表彰式・レセプションは23年1月18日15時から、東京・池袋サンシャインシティ文化会館で開催する「焼肉ビジネスフェア2023」「居酒屋JAPAN2023」(同時開催・相互乗り入れ)のセミナー会場で行う。受賞者は次のとおり(受賞者名=受賞理由)。
【外食事業者部門】
▽下遠野亘氏(スパイスワークスホールディングス代表取締役社長)=飲食店経営と内装デザインのハイブリット経営を行い、業界屈指のヒットメーカーとしてこれまで「肉寿司」などのヒット業態、繁盛店を数多く手掛けてきた。
他社との連携による飲食商業施設の開発にも熱心で、その中でも2022年度の活躍は目覚ましく「代々木のれん街倉庫別館」、「国際通りのれん街」増床、「浅草横町」と、立て続けにオープンし、街に活気をもたらす原動力となっている。
また「スシンジュク」を代表とする「カタカナスシ」と呼ばれる寿司酒場業態ブームの火付け役となった。
▽内山正宏氏(MUGEN代表取締役)=居酒屋業態を核としながら、4年連続でミシュランガイド東京の一つ星を獲得した「天婦羅みやしろ」や「鮨つきうだ」を展開し、コロナ禍でも繁盛店づくりに成功。
高級業態に挑戦したいと考える居酒屋経営者が増える中で、そのお手本的存在となった。労働時間の制約があっても若手が質の高い修業を受けられる仕組みを構築し、1万円コースのすし店「鮨おにかい」を4店舗に拡大。
店舗で未利用魚を活用する「もったいないプロジェクト」を推進し、早くからSDGsに取り組んでいる。
▽梁宝璋氏(味坊集団代表取締役)=梁氏の出身地である中国東北地方の料理を再現・提供したことで、本場の味を求める利用客の人気を博し、東京都内を中心に流行しつつある「ガチ中華」の先駆けとなった。
また中国料理にナチュールワインをペアリングする新たな食の楽しみ方を提案。東北地方料理だけでなく、北京や広東、湖南といった中国各地の蒸し料理を提供する店舗も展開している。
22年6月には東京・秋葉原に中国各地方の料理を1つの店で楽しめる「香福味坊(こうふくあじぼう)」をオープンし、日本への中国の食文化紹介に貢献している。
▽鳥羽周作氏(sio/シズる代表取締役)=「幸せの分母を増やす」ことをテーマに多方面で活躍。ミシュランガイド東京で4年連続一つ星を獲得する「sio」を運営しながら、星付き店を作るのと同じ熱量で、居酒屋や洋食店などを出店・プロデュースし、コロナ禍でもさらなる店の活性化を図って集客してきた。
外食企業やコンビニとのコラボ商品も多数展開。SNS、ユーチューブでのレシピなどの情報発信力も注目され、音楽、ファッション、カルチャーの世界とも複合的にコラボしたブランド構築は、レストランの枠を超えた新たな飲食店のあり方として、多くの外食プレイヤーに影響を与えている。
【中間流通・外食支援事業者】
▽池端由基氏(LINE上級執行役員 広告・法人事業統括 マーケティングソリューションカンパニーCEO)=メッセージアプリ「LINE」と連動したさまざまな飲食事業者向けサービスを展開。「LINE公式アカウント」やモバイルオーダーなどの「LINEミニアプリ」、来店予約できる「LINEで予約」などを提供。
およそ9300万人(22年9月末時点)と日本最大級の国内月間利用者数を生かし、これまで顧客との連絡手段を持たなかった飲食店に顧客とのつながりを創出。同時に、従来アナログで行っていた作業をLINE内で完結させ、飲食業界のDXを推進した。
▽石野晴紀氏(北日本カコー代表取締役社長)=回転寿司用コンベアの製造・販売で圧倒的なシェアを誇り、寿司などをトレーに載せ、席番号を押すだけで迅速かつ確実に注文者のもとに届ける「特急レーン」付コンベア機は、回転寿司店のみならず、多くの焼肉店でも導入された。
導入店では人手不足を補い、エンターテインメント性で家族客などを惹きつけており、同社ならではの外食の現場を熟知した製品がコロナ禍で真価を発揮した。
なお、同記者会が選んだ22年の外食キーワードは「円安・コスト高」「値上げラッシュ」「インバウンド再開」「韓国業態」「冷食グルメ」「シューマイ」。