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白ワインより日本酒の方がうま味増す!? 魚介類とのペアリングの新事実!!【AISSY調べ】

2020年12月2日 2:05 pm

 料理にお酒を組み合わせることで、味わいがより深くなったり豊かになったりすることについて、感覚だけでなくデータ面からも明らかにしようとするさまざまな研究が世界各国で行われている。

 日本でも、味覚データの提供や味覚に関するコンサルティングを手掛けるAISSY(アイシー、東京・三田、鈴木隆一社長)が、料理とアルコール飲料とのペアリングによる、うま味の増幅について実験したところ、日本酒が、さまざまな料理のうま味を増幅させるとの結果を得た

 この調査は、海外で日本産農林水産物・食品のプロモーションを行う日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)からの依頼を受けて、AISSYと慶応義塾大学が共同開発した味覚を数値化するマシン「味覚センサーレオ」を活用して実施したもの。

 料理とアルコール飲料のペアリングによって、うま味がどれだけ増幅するのか、料理(全25種類)とアルコール飲料(全7種類)を掛け合わせて分析した結果、うま味成分を多く含む日本酒は、どの料理と合わせても各料理のうま味スコアに増幅が見られた。計測した料理とお酒は以下の通り。

 料理25種:グリルロブスター、ソフトシェルクラブ、ムール貝の白ワイン蒸し、タラのグリル焼き、ホタテのガーリック焼き、カルフォルニアロール、生牡蠣、オニオングラタンスープ、カラマリフリット、生ハム、オムレツ、刺身(まぐろ)、グリルソーセージ、白身魚のカルパッチョ、マッシュルームのアヒージョ、シュリンプカクテル、フライドチキン、カプレーゼ、カマンベールチーズ、マッシュポテト、クラムチャウダー、ステーキ、ペパロニピザ、オリーブ、キャビア
 アルコール飲料7種:日本酒、白ワイン、赤ワイン、シャンパン、ビール、ジン、ウィスキー(日本酒は計4銘柄を使用し、4銘柄の平均値を算出)

 全25料理の平均値とそれぞれのアルコール飲料を合わせた場合のうま味増幅スコアの平均は、他アルコール飲料が0.07~0.08ポイントであったのに対し、日本酒は0.32ポイントと大きく上回った

 

 日本酒のうま味の増幅スコアをそれぞれの料理別で見てみると、グリルロブスターやソフトシェルクラブ、ムール貝の白ワイン蒸しなどの魚介料理が、よりうま味の増幅度が高いという結果となった。

 また、魚介類のペアリングとして白ワインを合わせることは有名だが、ペアリングの定番としてあげられる生牡蠣でうま味の増幅度を比較したところ、白ワインよりも日本酒とのペアリングの方がうま味が増幅することも明らかとなった。

 同社ではこの結果について、「魚介類に含まれるうま味成分『イノシン酸』と日本酒に含まれるうま味成分『グルタミン酸』が相互作用し、さらにうま味を増幅させる『うま味の相乗効果』によるもの」と推測。鈴木隆一社長は「日本酒と魚介類の相性の良さは日本では昔から言われていたが、うま味増幅効果を得やすい脂肪分を含む魚介類は、科学的にも相性が良いということが今回の実験でも明らかになった」とコメント。一方で、実際に人間がおいしいと感じるかどうかについては、個人差があるともしている。