コロナ禍をきっかけに、モバイルオーダーやテイクアウト、デリバリー、ECなどを導入する飲食店は急増したが、それぞれでサービスを提供する企業が異なり、デリバリーだけでも複数のサービスを導入するとそれぞれで専用端末が必要となる。利用者に対しても、同じ店舗に注文するためにデリバリーとテイクアウトで別のアプリやウェブサイトを立ち上げないといけないという不便さを与えているのが現状だ。
東京都内でフードデリバリーサービス〈Chompy（チョンピー）〉を提供するChompy（東京・池尻大橋、大見周平社長）は、モバイルオーダーやデリバリー（〈Chompy〉のサービス提供エリア限定）、テイクアウト、販促、EC、SNSなどの機能を一つに集約した公式アプリとウェブサイトを無料で作成できるサービス〈Chompy〉のベータ版を開発し、8月26日に提供を始めた。
大見周平社長は、会員数10万人超で利用店舗数1000店舗となったデリバリーサービスを運営する中で、プラットフォーマーにデータが集められ店舗側が利用できず、顧客と直接コミュニケーションを取れない点や、他社サービスでは35％強の手数料に加えて上位表示するためにはさらなる広告費が必要となり大手中心となること、自社ブランドの魅力を伝えられない点に疑問を持ったという。そこで、新たに飲食店の利便性を最優先させたサービスとして今回のサービス開発に着手した。
同サービスの特徴は、バラバラなプラットフォームを使っていることが多いモバイルオーダーやデリバリー、テイクアウト、サブスク、ECなどをすべて同アプリ一つで対応できることと、すべてのデータを店舗側が取得できる点だ。これにより、複数のサービスを使い分けたり、それぞれに手数料を支払う必要がなくなり、顧客データを取得できる上に顧客と直接つながっているので、アプリを通してプッシュ通知やニュース配信、スタンプやクーポンの発行、キャンペーン告知などに役立てられ、〈Instagram〉との連携もできる。また、一部のキッチンプリンターやPOSともつなげられ、売上分析などCRM機能も搭載する。
アプリは最短１週間で作成し、初期費用や月額費用は無料。利用料金はモバイルオーダーが税込商品総額の４％（キャンペーン終了後は６％）、テイクアウトが同６％、デリバリーが同16～25％（手数料に応じて変動）となる。この料金には決済手数料も含まれる。ただし、フードデリバリーサービスは〈Chompy〉のサービス提供エリアのみの対応となる。
大見社長は「新規客獲得を求めず常連客を大事にしたいという店舗にも便利なサービスとして開発した。脱プラットフォームをサポートし、ブランド独自のファンや売上の積み上げを実現できるサービスにしていく」と意気込みを語った。すでに「ゴーゴーカレー」や「北海道スープカレー Suage」など50ブランド以上で導入が決まっており、現在はアプリのみの提供となっているが、近日中にはウェブも対応予定だという。
