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納豆菌を粉末化した高たんぱく新食材! 小麦粉や片栗粉の代替に!!【フェルメクテス】

2024年2月9日 11:10 am

 慶應義塾大学発ベンチャー企業のフェルメクテス(山形・鶴岡・大橋由明社長)は、納豆菌を大量培養して乾燥粉末にした新食材「kin-pun」を開発し、小麦粉や片栗粉の代替としてパンや唐揚げ食品の製造に成功した

 「菌タンパク質」である「菌粉/kin-pun(きんぷん)」は、納豆菌を粉末にした食材。納豆菌は納豆の中に含まれているものの、目に見えないため「菌そのものを食材として」認知されることはなかった。しかしタンパク質危機が深刻な問題となっていることから、大豆でも納豆でもなく「菌そのものをタンパク質源」ととらえ生産することに着手。今回、持続可能な新しい食材として菌タンパク質の実用化を実現した。

 最大の特徴は「圧倒的な生産効率」で、約60分で2倍量になるため、どの食糧に比べても効率よく生産できる。具体的には、大きなタンクとバイオマス由来の培養液が充分量あれば、スプーン1杯(1g)の納豆菌が24時間後には1600万倍の16tになるという。

 「kin-pun」のタンパク質量は100g当たり73.8g(日本食品分析センター調べ)と小麦粉の約9倍で、納豆菌は日光も広い土地も必要なく、肥料拡散の心配もなく、今まで廃棄されていた原料で作れる環境負荷の低いアップサイクル(創造的再利用)フードでもあり、ハラル・ヴィーガン・コーシャにも対応。日本の伝統的発酵食品として世界中で食べられてきた長い食経験と歴史があり、乳酸菌や酵母に並ぶ食経験を持つことから安全性の高い食品と言えるとしている。

 実際に使用した山形・鶴岡市のイタリア料理店「アル・ケッチャーノ」の奥田政行オーナーシェフは「『kin-pun』の効果でパンは小麦の香りが丸くなり、はっきりとした旨味があるのにスッとのどに入る。食べ口が良く、食事パンにするには最高の素材」と評価。料理家の田村つぼみさんも「納豆よりもクセが無くさまざまな素材となじみやすいので、手軽にたんぱく質摂取ができる優秀素材。使い方によっては今までにない新しい食感が生まれる夢のある菌粉」とコメントしている。

 同社は今後、試食イベントなどを実施しながら社会実装に向けた取り組みを進める。