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甘藷種苗生産施設建設し健全な苗の育成・供給へ【霧島酒造】

2023年4月7日 12:16 pm

 本格芋焼酎〈黒霧島〉〈白霧島〉の霧島酒造(宮崎・都城、江夏順行社長)
は、宮崎県都城市志比田町に「甘藷種苗生産施設(仮称)」を建設する。

 芋焼酎の主原料であるさつまいも(甘藷)の生産体制強化や研究開発を目的とした施設で、さつまいもの生育不良を引き起こす病害で近年の収穫量減少の原因になっている「サツマイモ基腐病」(以下、基腐病)の種苗の段階での拡大防止を目指す。1月に着工しており、9月からの稼働を予定する。

 さつまいも生産農家の高齢化や転作・離農とともに、2018年に初めて国内で確認された基腐病の流行により、同社のさつまいも確保量は21、22年と2年連続で計画を下回った。これにより商品価格の改定や一部商品の販売休止といった影響が出ている中、同施設で健全な苗の育成・供給に取り組み、さつまいも生産農家が安心して生産できる環境づくりにつなげる。

 建設の目的は、種苗の段階における基腐病の拡大防止と、基腐病に限らず病害発生リスクの少ない健全な苗の育成・供給を行うこと。同施設内のハウスで9月から苗の生産を始め、早ければ11月頃から「ポット苗」として農家に提供していく見通しだ。

 また、これまで芋焼酎に主に使用してきたさつまいも品種「黄金千貫(コガネセンガン)」よりも基腐病の抵抗性が高い品種の普及推進や、品種改良を含めたさつまいもの研究開発にも取り組む。

 主力製品の〈黒霧島〉〈白霧島〉には「黄金千貫」を使用している中、今後は、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)が開発し、「黄金千貫」よりも基腐病に強く同様の酒質・品質を維持できることが確認されているさつまいも品種「みちしずく」を徐々に取り入れていく方針。同施設でも「黄金千貫」「みちしずく」両方の苗の育成・供給に取り組み、製品の安定供給を目指す。同施設の総工費は約14億円で、敷地面積は1万7565㎡。生産能力は最大200万本(切り苗)、最大9万本(ポット苗)。