AIを活用した社会課題解決に取り組むエクサウィザーズと「天丼てんや」などを展開するロイヤルホールディングスは、AI技術を活用した新たな顧客体験創造に向けて協業し、その第1弾として天ぷらの衣の形状や適切な揚げタイミングを判定する調理AIの開発に着手する。
エクサウィザーズは、AIプラットフォーム〈exaBase(エクサベース)〉を基軸に年間250件以上のAI/DXプロジェクトに携わっており、特にAIを用いた熟練技能の可視化・継承支援サービス〈exaBase スキルトランスファー〉では、さまざまな熟練技能を解析・再現するためのデータ・プロセスの構想設計から、データ収集、前処理、可視化・自動化までをワンストップで提供している。
これまで調理現場では、食材の大きさや形によって毎回異なる調理音や油の温度など複数の要因を瞬時に判断する熟練の繊細な技術を必要とする調理工程を、AIやロボット技術で解析・再現することは難しかった。そこで今回の協働では天ぷらに着目し、その調理技術の可視化・自動化に取り組む。
まず最初に、どのようなデータが必要となるかといったデータ・プロセスを設計し、分析のためのセンサーや取得すべきデータ形式などを定義。その上で、温度計や指向性マイク、HDカメラなどを使って天ぷらを揚げる際のデータ収集基盤を構築する。
その後、温度や音声、動画像などのマルチデータを元に多数のアルゴリズムを活用して、見た目の良い天ぷら調理を実現するために必要な因子を特定。それをAIに学習させることで、衣の形状や適切な揚げタイミングの判定などを可能にする調理AIを開発するという。
ちなみに〈exaBase〉のロボット向けAIソリューション〈exaBase ロボティクス〉では、盛り付けという言語化できないデザインセンスをAIに学習させることで、ミシュラン2つ星シェフの熟練技能を再現した世界初のパンケーキ盛り付けAIロボットの開発に成功している。今回の取り組みでは、それらの経験・ノウハウ・技術を活かすことで、熟練かつ繊細な技術を要する調理を自動で行うAI調理ロボットの開発なども視野に、AI技術を用いた飲食業の新たな顧客体験創造の実現を目指すとしている。