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飲食店検索で「Google」86%の利用率で初の首位! 予約は「グルメサイト」「電話」根強く【TableCheck調べ】

2022年8月17日 1:54 pm

 予約・顧客管理システムの開発・運営などを手掛けるTableCheck(東京・銀座、谷口優社長)が毎年実施している「グルメサイトに関する意識調査」によると、店舗検索で利用するツールでGoogleが初めてトップになった。一方、予約に関して年代別で調査したところ、50歳未満では「グルメサイト」が、50歳以上では「電話」が最も多かった

 同社は6月27~30日、全国20~60代の男女ユーザー1100人と、飲食店に勤務している全国20~50代の男女550人を対象にインターネット調査を実施。まず、ユーザーを対象に複数回答可で飲食店検索で利用するツールについて聞いたところ、Googleの利用率が86.1%となり、初めてグルメサイトを抜いてトップとなった。

 グルメサイトの利用頻度についても、「利用頻度が減った」層が「増えた」層を毎年上回って推移しており、その理由として「信頼できない」「好みのお店が見つからない」が過去の調査から変わらず上位を占めている。同社では、「Googleはコロナ禍で検索や予約など飲食店に関連する機能を充実させたことで、ユーザーが一気にシフトした」と分析する。

 年代別で飲食店検索と予約ツールの利用状況を見てみると、全年代でグルメサイトの利用率は高いものの、Googleの利用率が20代、30代、50代でグルメサイトを上回った。また、SNSで飲食店を探すのは20代のユーザー間で先行しており、他の世代と大きな差ができている。一方、予約ツールとしての利用率はGoogle、SNSともに極めて低く、依然として「グルメサイト」「電話予約」が根強いという結果が見て取れる。 
 この結果から、同社では「GoogleやInstagramはコロナ禍で飲食店の予約機能を充実させたが、飲食店側の導入設定が進んでいないなど、検索から予約までの動線に課題があると考えられる。裏を返せば、圧倒的なユーザー数を集めるGoogleを予約ツールとしてしっかり活用すれば、Googleから高い集客効果を期待できるのではないだろうか」との見方を示した。

 今回の調査から新たに設けた「自分好みのお店を発見できるツール」では、Googleがグルメサイトを上回った。予約ツールを利用する理由については、同じグルメサイトでも食べログは「情報を比較できる」がトップになったのに対し、「ホットペッパーグルメ」は「ポイントが貯まる」、一休は「お得」と回答が分かれた。
 電話予約は、「簡単」「確認しやすい」「変更などが手軽」「要望を細かく伝えられる」「確実」「直前予約ができる」と、複数の項目で高い支持を得ている

 グルメサイトの信頼度を聞いた設問では、「あまり信頼していない」「まったく信頼していない」を合わせた信頼しない層は30.4%に上り、2年前と比べて約1.2倍増えた

 続いて、飲食店向けの調査を見てみると、まず、6月に焼肉チェーン店が食べログの評点を不当に下げられたとして損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が食べログを運営するカカクコム側に独裁禁止法違反を認めて敗訴した判決に対して妥当かを尋ねたところ、58.0%が「判決は妥当」と回答。食べログ側を支持した回答者はわずか5.1%にとどまった。
 グルメサイトの飲食店評価に対しては、30.5%が「信用していない」と回答しており、ユーザーと飲食店の双方でグルメサイト離れが進行している状況下で、GoogleやSNSなど無料の集客ツールが充実してきたことで、その動きがさらに加速することが予想される。

 グルメサイトの利用状況では、食べログ、ホットペッパーグルメ、ぐるなびの3大グルメサイトが強いものの、「利用していない」層が58.0%存在する。その理由として「月額の掲載料が高い」「送客手数料が高い」とコスト面に関する理由と「掲載情報が信用できない」が上位3位を占めた。  グルメサイト以外で利用している予約受付ツールでは、公式ウェブサイトとInstagramが、2年前と比較して2倍以上の伸びを示しており、これらのツールを上手く活用する飲食店が増加するにつれ、グルメサイト離れはさらに加速していく可能性がある。

 現在の利用状況ではなく、今後も積極的に活用するツールについての設問では、Instagramが食べログに迫る勢いを見せた。さらに、集客で効果を感じているツールとしてもInstagramの評価は高い。一方、Googleの活用は進んでおらず、効果もあまり感じていないという結果が示され、ユーザー側での利用が増えているにもかかわらず、飲食店側での活用が進んでいないという乖離が生まれている状況となっていることが明らかとなった。

 同社では今回の調査結果から「『グルメサイト時代』は、間違いなく終わりを迎えつつある。ユーザーたちは、グルメサイトよりGoogleを好んで利用するようになり、飲食店はInstagramの集客効果を期待しながら、公式ウェブサイトをより多く活用するようになった。グルメサイトの凋落の理由としてビジネスモデルに限界がきているということが言えるのではないだろうか。主な収益源は、飲食店から支払われる月額固定の掲載料と従量課金の送客手数料だ。ユーザーからの課金による収益はかなり小さい。ところが、グルメサイトを支える飲食店に対しては、コスト高、信用度の低い評点や掲載情報といった不利益を与え続け、ユーザーに対しても『自分好みのお店が見つからない』という不満を満たせていない。よりパーソナライズされた情報を簡単に得られるようになった今、高い契約料順に表示される飲食店検索サービスからは、ユーザーも飲食店も離れてしまうのは当然の流れといえるだろう」と総括した。