外食業界でもデジタルトランスフォーメーションによる効率化・省人化が進んでいる。一方で人によるサービスの重要性も再認識されはじめているが、肝心のお客さんはどう思っているのだろうか。
リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が、外食する際にどの程度「人によるサービス」にこだわるかについて調査した結果、「人によるサービスの方がいい」+「どちらかというと人によるサービスの方がいい」の「人によるサービスの方がいい・計」で割合が最も高かったのは「調理」(68.4%)、次いで「配膳」(50.8%)だった。
これとは逆の「人によるサービスでなくてもいい・計」では、割合が最も高かったのは「注文」(72.6%)、次いで「会計」(64.9%)だった。
全体的に「人によるサービスでなくてもいい」が過半数となっている項目が多く、人によらないサービスがもはや特別ではなくなっている社会状況を反映しているようにみえると同社は指摘する。
「人によるサービスでなくてもいい・計」の性年代別・圏域別の傾向は、圏域別には大きな差はなく、性年代別では差のある項目が目立つ。
特に20~40代女性においては「人によるサービスでなくてもいい」と考える項目が多く、50~60代男性と60代女性は「人によるサービスの方がいい」と考える項目が多い。
外食のシーンやお店のタイプについて対比的な項目を提示し、それぞれ「人によるサービスでなくてもいい」かどうかを尋ねたところ、「人によるサービスでなくていい」割合が高い外食シーン1位は「一人で利用」(72.9%)、2位は「短時間(1時間未満)の利用」(69.2%)となった。
また、対比的な項目間のポイント差に注目してみると、「大衆店」(63.7%)と「高級店」(25.4%)のポイント差が38.3 ポイント、「日常的な利用」(66.5%)と「特別な利用(記念日等)」(29.8%)のポイント差が36.7 ポイントと大きく、利用シーンやお店のタイプにより「人によるサービス」のニーズに幅がありそうだ。
「人によるサービス」にこだわる理由のトップ3は、1位「人によるサービスの方が温かみがある」(51.7%)、2位「人のサービスにも対価を払っていると思う」(31.8%)、3位「注文内容について詳しく相談したいときがある」(31.7%)だった。
一方、「人に代わるツール類の操作が苦手、面倒」(12.1%)、「ツールやロボットによるサービスは放置されているようで印象がよくない」(8.2%)を選択する人は限定的だった。
性年代別では50・60代男性で「人によるサービスの方が温かみがある」「スタッフとの交流も外食の楽しみのひとつ」の割合が高く、40~60代女性では「注文内容について詳しく相談したいときがある」の割合が高かった。
逆に、「人によるサービス」にこだわらない理由のトップ3は、1位「いちいち人を呼ぶのが面倒であり、気が引けることもある」(42.4%)、2位「人を介さない方が早いことがある」(38.4%)、3位「人手不足なので仕方がない」(31.6%)となり、「ツールやロボットを駆使したお店の方が、最先端な感じでイメージがよい」(6.1%)を選択する人は限定的だった。
性年代別では20~60代女性で「いちいち人を呼ぶのが面倒であり、気が引けることもある」の割合が高く、20・30代女性ではさらに「人を介さない方が早いことがある」「人との関わりやスタッフとの交流は、特に求めない」の割合が高かった。
また、50・60 代女性では「コロナウイルス感染症等の時節柄、人との接触をなるべく避けたい」の割合も高かった。
この内容は、2022年7月1~8日、首都圏、関西圏、東海圏に住む20~69歳の男女9666人に調査した。