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忘・新年会、企業の7割が「開催しない」【TSR調べ】

2021年10月25日 12:11 pm

 一部地域の飲食店(認証店)の時短営業は10月25日から解除され、飲食店の忘年会、新年会への期待はこれまでになく高まっている。

 「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が全面解除された後の10月1日~11日、東京商工リサーチ(TSR)が実施した企業向けアンケート調査(有効回答8,174社)によると、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」に関係なく忘年会、新年会を「開催しない」と回答した企業は70.4%(5,760社)に達した。

 2020年12月実施のアンケート調査では「開催しない」が94.2%で、1年間で23.8ポイント回復したが、感染防止の意識が広がり、宴会を控える企業は多い。

 今シーズンは、「緊急事態宣言」などを発令されないなど条件付きの開催予定は約3割ある。ただ、店舗により人数や時間制限などもあり、コロナ前の賑やかな忘・新年会が戻るのはまだまだ難しそうだ。

 規模別では、大企業は「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく開催しないが78.9%(1,229社中、970社)。「宣言」や「重点措置」の対象区域でなければ開催するは合計20.5%(253社)で、宣言や重点措置が発令されると合計99.5%(1,223社)が「開催しない」だった。

 中小企業は「開催しない」が68.9%(6,945社中、4,790社)、「宣言」「重点措置」でなければ開催するは合計29.5%(2,049社)。宣言や重点措置が発令されると合計98.4%(6,839社)が「開催しない」だった。

※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

都道府県別 「開催しない」7割以上は25県
 都道府県別では、「開催しない」は奈良県が84.3%(51社中、43社)でトップ。また、大分県81.8%(66社中、54社)、栃木県80.7%(140社中、113社)、高知県80.5%(36社中、29社)、富山県80.0%(70社中、56社)の5県が80%台だった。

 一方、「開催しない」の最低は時短営業の要請が続く沖縄県で48.5%(70社中、34社)。職員に飲酒を伴う会合参加で飲食店の支援を呼びかけた鶴岡市のある山形県は74.5%(102社中、76社)だった。

 大都市別では、東京都が69.9%、大阪府が68.6%、神奈川県が71.3%、愛知県が69.7%、福岡県が62.9%だった。波はあるが、総じて東日本が慎重派、西日本は積極派が多いようだ。

 この結果に肩を落とす飲食店も多いだろうが、昨年12月は9割超が忘・新年会を開催しないとしていた頃から比べると、条件付きとはいえ3割は開催の意向を持っている。

 たとえば店内の感染対策を万全にしていることをPRしつつ、SNSやサイト、店頭などで「スタッフ全員ワクチン2回接種済!」とアピールしたり、「ワクチン2回接種済もしくは3日以内のPCR検査が陰性のお客様には飲み放題が2時間500円に!」など、お客さんにとって感染リスクが低くインセンティブがある施策で訴求していけば、それなりの宴会需要を取り込むことは可能かもしれない。