消費者参加型のミステリーショッパーサービス「ファンくる」(https://www.fancrew.jp/)を運営するROIは、コロナ前とコロナ禍での「再来店」につながる理由を分析し、「料理」と「接客姿勢・笑顔」とを比較したところ、コロナ前は「料理」と「接客」を一体として認識するお客さんが多かったが、コロナ禍になり「料理」と「接客」を分けて評価し、より「接客」を重視する傾向が増したことがわかった。
同社は、新型コロナウイルス流行前の2019年6〜12月に実施した居酒屋業態の覆面調査(有効回答4667)と、1回目の緊急事態宣言が明けた2020年6〜12月の結果(同2637)を、多変量解析の1つである共分散構造分析(※1)によって、33の質問項目ともう一度来店したいと思う「再来店意向」との因果関係を調べ、コロナ前とコロナ禍で比較した。
その結果、コロナ前でもコロナ禍でも「再来店」につながる最大の理由は「料理」であることに変わりはなく、コロナ前は「接客姿勢・笑顔」が「再来店したい」と思わせる直接の理由にはなりにくかった。それは、「接客姿勢・笑顔」と「料理」との相関係数の値が高く出ていたとの分析結果から、お客さんが「接客」と「料理」を一体で評価した上で「再来店」につながっていたことを示している。
一方、コロナ禍でも「料理」と「再来店意向」の因果関係が、ほかと比べて最も深いことは変わらないものの、「料理」と「接客姿勢・笑顔」との相関係数がコロナ前よりも下がり、「接客姿勢・笑顔」が「再来店意向」に直接つながるポイントが上がった。
つまり、これまで「料理」と「接客姿勢・笑顔」は一体として評価されていたものが少し変化し、「料理」と「接客姿勢・笑顔」がそれぞれ独立して評価されるようになり、「接客姿勢・笑顔」だけでも「再来店したい」という意向に直接影響する割合が増えたこと示している。
同社では「数字の変化量は小さいが、コロナ前とコロナ禍では明らかな変化が見て取れる。これまで以上に『接客姿勢・笑顔』がリピート客獲得の重要な要素になりそう」としている。
ちなみに、「入店挨拶」、「おすすめ・説明」、「スムーズな対応」、「店内清潔感」、「トイレ清潔感」も概ね「再来店意向」に直接つながっていないものの、例えば「入店対応」の良さは「接客姿勢・笑顔」と「料理」との相関が高いので、入店対応が良ければ「接客姿勢」と「料理」の評価が上がり、それが「再来店意向」にプラスに寄与するという結果も見られた。
※1[共分散構造分析とは]
多数のデータから結果を予測したり要約する手法である多変量解析の1つで、仮説の因果関係を検証する分析手法。例えば、「ブランドロイヤリティ」の向上が「ブランドのリピート率を高める」という仮説の因果関係を解明する分析手法になり、市場や消費動向における複雑な仮説をシンプルにモデル化し、検証できる。
今回の分析では、33項目のアンケート項目から推定された7つの潜在変数と、リピートしたいという「再来店意向」とお勧めしたいという「推奨意向」との因果関係を仮説とし解析した。
※関連ページ※
居酒屋で「接客の良いスタッフがいたら再来店したい」は94%! 6割超が行きつけ店あり【「ファンくる」調べ】
https://foodfun.jp/archives/13095