食品ロスの削減の推進に関する法律が10月1日から施行されるなど、国や企業が食品ロスへの対策に本腰を入れる中、ノーショウやフードロス対策として余剰食材を活用した「おまかせメニュー」を格安で提供する月額定額制アプリ「フードパスポート」が10月25日、関西版に続いて関東でのサービスを始めた。
1都3県ですでに500店舗以上が導入。これまでの関西版ではチェーン店ばかりが表示されないようにと掲載していなかった大手チェーン店も、これを期に導入対象とした。まず25日のスタートに合わせて、ワタミが展開する各ブランドと奴ダイニングが展開する「ビーフキッチンスタンド」全7店舗がサービス提供を始めた。
「フードパスポート」は、REARS(リアーズ、大阪・肥後橋、後藤靖佳社長)が18年10月に関西で始めたサービスで、利用者が月額980円(税別)を支払うと、1日1回・月10回まで、店側が提供するメニューを無料で注文できる。近畿の2府4県でも500店舗以上が利用しており、これまでのダウンロード数は5万を超えている。
飲食店側の利用料金は無料で、逆に分配金がもらえる仕組み。具体的には、「月額料金×総ユーザー数×30%」を分配金の原資とし、それを総来店回数で割った分配金を、各店舗の来店回数に合わせて支給する。今までのところ平均して1回あたり約150円支払われているという。
店側は、使い切らなくてはいけない生鮮品や、急なキャンセルやノーショウにより余分となった食材などを使ったおまかせメニューを何食分提供するかをアプリにアップ。ワンドリンクの注文や、チャージ(お通し代)の支払いを求める場合は、その旨も明記する。例えばランチで余った食材を利用して、「具材の分量がかたよったビビンバ」や「閉店前のおまかせラーメン」「新人スタッフの練習メニュー」など、通常はメニューとして載せられないものも提供する。
余剰食材を使うため、時間帯はランチ後やピーク前のアイドルタイム、ディナー満席後の夜の設定となる。メニューはできるだけ1000円前後以上のものを提供するようにお願いしているという。オペレーションは、利用者がアプリ画面のメニューを店員に見せて「注文する」をタップ。店員が店舗コードを入力し、そのメニューを提供する。
また、企業が福利厚生の一環として活用できるように「法人プラン」も新たに用意する。利用料金などは導入する規模などによって変動するという。
後藤靖佳社長は「雨や雪など天候による来客減、予約キャンセルやノーショウなどによる余剰食材や、アイドルタイムの活用という課題を解決するために開発した。おまかせメニューと共に通常メニューやドリンクを一緒に注文する利用者が多く、同伴者を連れてくる例も見られ、新規顧客の獲得にもつながっている。フードロス対策のサービスも色々と出てきており、市場が拡大することは望ましい。フードロスというと〝あまりもの〟というマイナスイメージを持ちやすいが、楽しく得するサブスクリプションサービスを提供し、その結果としてフードロス対策にもなるという認識を広げたい」と話す。今後、名古屋、福岡での展開も予定しており、掲載5万店舗、ユーザー100万人を目指す。