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ゲーム感覚で学びやすい~外国人対応のヴァーチャルリアリティで接客や調理を自主学習!!【スペースリー】

2019年10月28日 3:53 pm

 外国人スタッフを研修したことのある飲食店なら、マニュアルを使って研修しても現場に入ると戸惑ったり、そのまま外国語に翻訳すると真逆の意味になり誤解が生じるなどの経験を持っている人がいるかもしれない。また、日本人に比べて研修回数が増えたりそのまま離職されると、結局高コストになってしまうという場合もある。

 これらの課題を解決する手立てとして、海外では広まりつつあるVR(ヴァーチャル・リアリティ、仮想現実)を使って研修する仕組みを提供するサービスが日本でも現れている。主に不動産業者向けにVRで物件を内覧できるサービスを提供しているスペースリー(東京・渋谷、森田博和社長)は、飲食店や小売店向けにVR研修サービスを開発した。

 VRとは、ゴーグルなどをつけて中の映像を見ると、360度の映像を立体的に見られる仕組み。例えば、キッチンやホールの映像をセッティングして、右を向けば、実際の店舗と同様に右側に見える景色や設備、調理器具などが写され、あたかもその店に自分がいるような感覚となる。

 VR研修では、スタッフが映像の中で接客したり調理する姿を、その場で横にいながら見ているような感覚で学習でき、包丁の入れ方などは角度を変えて確認することも可能だ。また、クレームがあった時にA、Bどちらの対応を選ぶかや、調理しながら注意する点などを、自らがバーチャルで接客・調理している感覚で学ぶこともできる。

 そのため、時間や場所、設備を用意する必要がなく、スムーズに仕事を覚えられる。また、途中にクイズやタイムトライアル、手順判断、状況判断シナリオなどを組み込むことにより、ゲーム感覚で効果測定を行いながら手軽に自主学習して手順や対応を身につけられる。研修用素材は外国語にも対応するため、外国語のマニュアルを組み込むことで、言語の制約もなくなり、外国人でも日本人同様に即戦力として働ける

 店舗側は、360度全天球カメラ「リコー シータSC」(税別4万円で購入可能)と三脚、一脚を用意し、研修用のマニュアルに沿った接客のロールプレイングや調理風景を撮影する。その後、映像を編集してクイズやタイムトライアルなどを組み込みながら、研修用のコンテンツを完成させる。

 ファミリーレストラン「ガスト」で実証実験を進めてきたすかいらーくホールディングスからは、「外国人労働者向け研修として活用した。また、新入社員が業務に入る前にVR研修することで、上司に直接教えられなくても自信を持って現場に入ることができた。材料を使わずに調理トレーニングできるためコスト削減にも役立った」という反応があった。

 同社では「マニュアル化できている仕事であれば、かなり効率のいい研修ができる。テキストや写真、動画と違い、自分が実践している感覚で覚えるため習得も早い」と話す。フルセットのVRゴーグル以外にも、パソコンやスマートフォンでの動画視聴にも対応。スマホをセットしてVR化できるVRメガネなどを利用すれば、家にいながらVR研修できる。

 利用料金は、VRゴーグル2個付きで月額税別6万8000円。最初に撮影や編集、コンテンツの作り方、活用方法などを説明し、その後は店舗側で自由に研修用コンテンツを作れる。スペースリーの担当者によると、研修用のコンテンツは簡単に作れるようになっているため、最初の説明を受ければ自分で作れる人が多いという。

 これにより、メニューの変更や新店舗オープンなど、これまでの研修内容と異なる内容が必要となった場合でも、コンテンツ業者に新たな撮影や編集、変更を依頼する必要がなく、コストを大幅に抑えられるメリットがある。

 一方、まだまだ新しいサービスのため、企画、撮影、制作、運用、研修のサポート、研修後のフィードバックまで、専属スタッフがフルサポートでコンサルティングする「実証プラン」も用意した。通常は6カ月70万円~のところ、12月までに申し込んだ場合は50万円~となる。