
画像切り抜きサービス〈切り抜きjp〉を運営するメディア・バックオフィス(東京・淡路町、渡邉堅一郎社長)は、写真切り抜きサービスの作業拠点として2012年からインドに拠点を設置して運営する中、新事業として日本初となる〈インド産水牛モッツァレラ〉を輸入し、飲食店向けへの販売を始めた。
同製品には、イタリア水牛の原種とも言われる、高乳脂肪(7~9%)で旨みが強いムラー種のミルクを使用。1週間熟成して水分を抜き旨みを凝縮させた、イタリアでも希少なセミハードタイプ(ブロック型・1キロ)の冷凍品となる。低温調理でも水分が出にくく、400℃以上の加熱料理にも適合し、冷めても固くなりにくいという使い勝手の良さでも訴求する。
卸価格は、イタリア産水牛モッツアレラが1キロで約4000円程度のところ、約2500円(11キロ以上の場合)となる予定。若い時に和食の料理人でもあった渡邉堅一郎社長は「まずはイタリア産にこだわらない飲食店や、これまで価格面で水牛モッツァレラを使えなかった業態などをターゲットに、高品質でコスパがいい点を知ってもらい、卸業者を見つけ販路を確立する。今年中にはフレッシュタイプやブッラータも出したい」と語った。
インド産の水牛モッツァレラチーズは、日本政府が定める「家畜衛生条件」による輸入規制のため、これまで日本市場では流通できなかった。特にネックとなったのが、インド産水牛乳が口蹄疫ではないことを証明することの難しさだった。そんな中、2024年から食品通関の専門企業の大東港運やインドの監査法人と輸出規制当局の支援を受け、法令適合調査と現地サプライチェーンの実地調査を実施。その結果、インド政府から「口蹄疫フリーの証明書」を取得し、東京検疫所から正式な輸入許可を得た。
同社は、インド中央部にあるマディヤ・プラデーシュ州で水牛乳のみのチーズを製造する企業に、日本の食品安全法や家畜衛生条件に準拠した設備を導入し、イタリア人のチーズ職人が監修したレシピで作った〈水牛モッツァレラ〉を月30t、日本に輸出できる体制を整えた。
渡邉社長は「インドでは乳牛と水牛を一緒に育てミルクも混ぜて出荷することがほとんど。そのため水牛のみを飼育してチーズを作っている業者を探すだけでも1年かかった」と、輸入までの困難さを振り返った。