
自社製品の卸売・小売業に加え、伝統産業や飲食業向けのコンサルティングなどを手掛けるシュワン(福岡・博多、庄島健泰社長)は、日本酒の個性的で繊細な味わいを余すことなく引き出すことを目的に新たに開発した酒器〈SHUWAN(シュワン)〉の本格販売を始めた。
日本酒はワイングラスか猪口で飲まれることが一般的だが、猪口では日本酒の持つ香りが放散され繊細な香りを十分に楽しむことができず、ワイングラスの主流であるすぼまった形状では香りが籠り過ぎて刺激的な揮発成分を強く感じてしまうというデメリットがあるとして、同社は、日本酒の隠れた香りと味わいを感じられる形を追求した酒器 〈SHUWAN〉を開発した。
2024年にクラウドファンディング〈Makuake〉で支援を募ったところ、目標比2215%となる1107万円を達成。一部の飲食店や外資系高級ホテル、日本酒店、BARなどで導入されることになったという。
〈SHUWAN〉は、胴体を楕円に飲み口を正円に、高さと口径をミリ単位で設計することで、アルコールなどの刺激臭を穏やかにし日本酒の持つ香り成分をほどよく留めることで、口中に日本酒の持つ繊細な香り、柔らかな甘みが豊かにひろがるようにした酒器。日本酒を器の半分程度(90cc~120cc)注ぐと、これまでにない新たな日本酒の味を体感できるとしている。
そして、同社は今回、器による香りや味の違いを科学的にも立証するため、味香り戦略研究所(東京・茅場町、小柳道啓社長)と協力して、酒器の形の違いにより揮発性香気成分にどのような差が生まれるかを検証。気体の分析手法の1つであるガスクロマトグラフィーで、3つの酒器(猪口、ワイングラス、〈SHUWAN〉)によるフルーティな純米吟醸酒の香気成分の違いを分析した。
まず香気成分量の経時測定では、〈SHUWAN〉の方が猪口とワイングラスと比べて、日本酒の持つ香気成分の対流による放散・蓄積などで他の酒器にはない香りバランスを形成し、ベースノートも検出していることから、後味・後香でも風味を感じふくらみのある酒質を体験できるという結果を得た。
続いて香気成分の比較では、〈SHUWAN〉では、エステル化合物の酢酸イソアミル(バナナのような香り)、カプロン酸エチル(フルーツ系の香り)、カプリル酸エチル(パイナップルやアプリコット)などの成分量が多く、不快な臭いになりがちな酸類(酢酸、吉草酸、カプロン酸等)、ケトン(リンゴの腐敗臭など)は猪口とワイングラスよりも少ない。
これらのことから、〈SHUWAN〉で日本酒を飲むことで、比較的質量の軽い不快な臭い成分類(酸類など)は程よく放散され、沸点が高い(エステル化合物)成分は底部に留まることでリッチな風味バランスを体感できるという科学的な結果に得たとしている。
オンラインサイトでの小売価格は3960円で、法人向けの卸販売も受け付けている。