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アサヒGHDの出荷停止の影響がビール以外にも 酒販店や飲食店で炭酸ガスボンベの品薄懸念

2025年10月6日 9:45 am

 アサヒグループホールディングス(アサヒGHD)がサイバー攻撃を受け、9月29日から国内グループ各社の製品の出荷を停止した影響が、ビールの在庫や流通以外にも波及している。

 影響がみられるのは樽生ビールやハイボール、チューハイなどの提供に使用する炭酸のガスボンベ。アサヒGHDのビール〈スーパードライ〉などの製品とともに出荷が停止となったことで、飲食店に納入する酒販店や現場で取り扱う飲食店で品薄や品切れなどの懸念も出てきている。

卸は炭酸ガスボンベの在庫に懸念

 京都に本社を置く酒類・食品卸の奥田商店では、「炭酸ガスボンベの影響は当然出ているし在庫がなくなってきている」といい、アサヒビールの出荷停止によって一部で配送の遅れが出たアサヒビールとキリンビール、サッポロビールの共同配送に関連し、10月3日時点では「キリンのガスボンベは大丈夫だが、サッポロで在庫が乏しい」とする。

 また大手業務用酒類卸では、3日時点でガスボンベ不足への具体的な懸念はないものの、共同配送の遅れで地域によってはキリンやサッポロのビール用ガスボンベが「届かなかった日があったと聞いている」という話もあったという。

 他の酒類卸からも「炭酸ガスボンベはアサヒのシステム障害の前からひっ迫していたところであり、今回でさらに打撃」や、「注文が来ても全店には出せないので、1社から10本の要望があった場合には8本しか在庫がないので需要の大きな店に絞ってもらって配送とするという交渉をしている」といった声がある。

飲食店は安定的なガスボンベ供給に不安も

 飲食店サイドでは、居酒屋「はなの舞」などを運営するチムニーが一部対応を進めている。
ビールのメインである〈スーパードライ〉の在庫自体は3日時点で週末(3~5日)も持ちそうな見通しだが、ボンベについて「危惧している」といい、足りなくなりそうな店はあらかじめ酒販店に求めるよう直営・FC店を含めアナウンスして対応しているという。
 また複数社のビールを取り扱う外食企業で今後の安定的なボンベ供給を不安視する声があるなど、飲食店の現場でも懸念が広がりつつある。

4大ビールメーカーの対応

 共同配送についてはキリン、サッポロともに「アサヒGHD含めた共同配送は既に再開しており、影響はない」としながら、顧客のビールの銘柄切り替えや代替商品を求める需要に対して増産予定や計画があるかについては、キリンは「常に需要を見越して製造を行っている」とし、サッポロは「既に製造スケジュールを立てているため、急な増産は難しい」とする。

 また、炭酸ガスボンベやサーバー手配などについてはキリンビールは「仮に需要増ということになったとしても規模感が想定できないため、現時点での回答は控えたい」、サッポロビールは「生ビールサーバーの取り付け部分が同一であることから、要望はあると認識している」という。
 サントリーホールディングスでは増産やボンベ、サーバーの手配などについて具体的に決まっているものはないものの、流通関係から来ている問い合わせについては「できる限りの対応をさせてもらっている」とする。

 アサヒGHDでは3日、1日にごく一部で試験的に紙での受注に対応した製品の納入を始めたものの、3日時点でそれ以外の製品の受注・出荷は停止しており、3日以降新たな注文を受けるかなどは同日時点で何も決まっていないとしている。