「魚を減らさないでDHAを作りたい」。その思いを実現しよう生まれた、魚以上にDHAを含む天然の完全植物性うまみ食材〈うま藻(UMAMO)〉が、レストランや大手企業の社員食堂などで導入されるなど、注目を集め始めている。
〈うま藻〉は、未利用食品と天然の藻の組み合わせでさまざまな栄養素を作り出すユニークな藻類発酵技術を持つAlgaleX(アルガレックス/沖縄・うるま、高田大地社長)が、酒粕や焼酎粕など多種多様な未利用食品を取り寄せ、DHAを豊富に含む藻を育てる実験を重ねた結果誕生したものだ。
ある時、偶然、同社がある沖縄の泡盛粕で藻を育ててみたところ、何回作っても旨味を強く感じ、しかもDHAの含有も高い藻が育ったという。それまでは「DHAが豊富に含まれてはいるもののおいしくない」ということが藻業界にとっての常識だったことから、同社は〈うま藻〉と名付けて商品化に取り組んだ。
〈うま藻〉には、生サバの13倍のDHAと真昆布の2倍のグルタミン酸、しじみの4倍のコハク酸、アスパラの5倍のアスパラギン酸、トマトの9倍のGABAが含まれており、カラスミのような濃厚な旨みが、さまざまな料理にコクと深みを加えるという。見た目もカラスミようなオレンジ色をしており、彩りを添えるのにも役立つ。
廃棄予定の未利用の泡盛粕をアップサイクルして養殖しているので、当初の目的通り、魚を減らすことなく、環境にも優しいサステナブル食材でもあるのだ。ただ、元になる藻は、元々マングローブの葉っぱの裏で栄養素を吸収しながらのんびり育つ種類の藻で、安定生産が難しかったという。
そのため、当初は製造された〈うま藻〉を、東京、大阪、沖縄の一部のレストランなどに卸していたが、安定生産も可能になったことから、今年2月からは小売りも開始し、本格的に販売を始めた。オンラインショップでは、1g(1袋)×10袋で1620円で販売しており、レストランなどの卸売りにも対応する。また、〈うま藻〉を使った〈うま藻 だし醤油〉や〈うま藻 醤油麹〉なども開発し販売している。