本格焼酎〈さつま白波〉の薩摩酒造(鹿児島・枕崎、本坊愛一郎社長)は、ウイスキーの製造・販売事業に参入した。
2022年12月にウイスキー製造免許を取得し、23年2月から鹿児島・枕崎の「火の神蒸溜所」(鹿児島県枕崎市火之神北町388番地)で新たにモルトウイスキーの製造を開始。「モノづくりの可能性に挑戦し続け、人びとに幸せな笑顔を届けたい」(同社)との考えから参入に至ったもので、「本格焼酎のパイオニアとして磨き続けてきた製造技術を活かし、世界水準でのウイスキーの生産を、創業の地『枕崎』で実現すべく取り組む」(同社)と意気込む。
23年内には同蒸溜所の敷地に連続式蒸留機を新設し、グレーンウイスキーの製造開始も予定する。モルトウイスキー、グレーンウイスキーともに「ジャパニーズウイスキー」の定義に適応した製品として、輸出も含め国内外での需要獲得を目指す。
同蒸溜所は洋樽のメンテナンスを行うクーパレッジ(樽工房)を合わせ持った施設で、同設備と技術もウイスキー造りに活用していく。グループ会社で、1949年にウイスキー製造免許を取得している本坊酒造の蒸溜所などとも技術交流をしながら、薩摩酒造ならではのウイスキー生産に取り組む構えだ。
同蒸溜所のウイスキー生産量は、年間17.5万Lを予定。仕込み水には蒸溜所周辺の地下水を使う。今後は23年11月にグレーンウイスキー蒸溜設備の本運転を始め、24年内にはショップやバーを備えた施設をオープンするほか、蒸溜所の一般見学も受け入れる予定だ。
薩摩酒造の本坊愛一郎社長は、「薩摩酒造は100周年(2036年)を見据え、昨年『モノづくりの可能性に挑戦し続け、人びとに幸せな笑顔をお届けする』という新しい企業理念を設定し、『MAKE a WAVE – 未来に向け挑戦する人たちへ-』というビジョンのもと、活動を加速させてきました。ウイスキー製造も我々にとって大変大きな挑戦と捉えています。終わりなき品質追及の旅が始まりますので、ウイスキー製造はもとより、本格焼酎事業でもより高い品質を実現すべく全社一丸となって取り組んでまいります」とコメントしている。
同蒸溜所による最初のウイスキー製品は26年内にシングルモルト〈火の神〉を発売予定。年間を通じて温暖な気候であるなどの地理的条件も強みに、世界で愛されるジャパニーズウイスキーづくりを目指す。