一般社団法人日本飲食業経営審議会(東京・秋葉原、高橋英樹代表理事/LEJ)は、昨今の原材料費や人件費の価格高騰などを受けて、飲食店の値上げに対して消費者の理解を促すポスターを制作した。まずは全国の加盟店約2000店舗を目標に配布し、各店に店頭で掲示するよう呼び掛け、その後、WEBサイトやSNSを通じてダウンロードサイトを提供するとしている。
同団体は、原材料費や水光熱費の高騰などに加え、食品や飲料の値上げにより飲食店の経営がより厳しくなっている情勢を憂慮。中小や個店の飲食店の中には、客離れを懸念して値上げに踏み切れていない店もあり、それでは営業しながら赤字に陥る可能性があるとして、中小や個店こそ値上げは避けられないとの想いからポスターを制作した。
高橋代表理事は、今回のポスター配布の意図と目的などについて以下のようにコメントした。
「外食産業は、多くの人手を必要とする労働集約型で、利益率の低いビジネスです。中小企業・個店の場合、通常時でさえその利益率は5%前後と言われ、コストの6割以上を原材料費と人件費が占めています。果たしてこの収益構造は適正なものなのでしょうか?『原材料費は全体の30%』が適切な基準と言えるのでしょうか? 世界規模のパンデミックや原材料費などの価格高騰といった前例のない厳しい状況におかれた今こそ、見直す良い機会です。原価から売価を決める売上至上主義から脱却し、みなさんが誇りをもって提供している『価値』から売価を決め、適正な利益を確保するべきです。
「コロナ下、飲食業界はさまざまな問題に直面し、看過してきた課題が浮き彫りになりました。これまで経済や政治に対して、業界として働きかけてこなかったという反省もあります。ですが、外食に魅せられて、そこに多くの人が集い、市場規模は18兆円を超え、飲食業従事者は、全労働人口の7%を占めます。外食産業と言われるようになり50年。人々のコミュニケーションの潤滑油として、飲食店は人生を豊かにするかけがえのない価値を提供してきました。世界に誇れる日本の食文化の一端を担う外食産業。その灯を消さないためにも、勇気をもって『値上げ』に踏み切り、お客様に丁寧に理解を求めていくべき時が、今きているのではないでしょうか」
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