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HACCP完全義務化も導入完了は4割、5人未満の小規模事業者は8割が未導入【ClipLine調べ】

2021年7月19日 3:00 pm

 多店舗・多拠点展開ビジネスの組織実行力を高める動画マネジメントシステム「ClipLine(クリップライン)」を提供するClipLine(東京都品川区、高橋勇人社長)は2021年6月17日~21日、全国の食料品製造業・飲食店に所属する経営層および従業員400人を対象に、「HACCP導入に関する調査」を実施した。

 「HACCPという衛生管理基準を知っているか」の問いには、経営層、現場の従業員層ともに8割がHACCPの制度を認識していると回答。

 「2021年6月よりHACCPが義務化されたことを知っているか」には、経営層の8割以上、現場の従業員層6割が認識していると回答した。

「会社(組織)でのHACCPの導入状況(6月17日~21日時点)」については、経営層を対象にした導入状況の設問では4割弱が導入完了と回答。

 企業規模(従業員数)別に導入状況を見ると、100人以上の事業所(拠点)では9割近くが「完全導入・または一部導入済み」であることがわかる。

 一方、1~5人未満の事業所(拠点)では「完全導入・一部導入済み」は2割にすぎず、半数が「導入目途が立っていない」「わからない」と回答した。

 「HACCPを完全に導入できていない理由」については、「人が足りず、管理できない」39%が最多となった。次いで「確認項数が多く体制的に管理ができない」36%、「研修など、人材育成をしている余裕がない」32%と続いた。

 同社は、「HACCP導入には知識習得の上、管理を実行するためには専門の人材が必要であり、推進難易度が高いと認識されている可能性がある」と分析する。

 「どれくらい正確にHACCPに基づいた管理ができているか」では、「管理に従ってすべての工程を一部のもれなく完璧に行い報告している」は28%。

 「正確に管理できていない理由は何か」については、「チェック項目が多く、従業員一人一人の理解に差がある」が最多の58%。次いで「チェック項目が多く、人手が足りていない」30%、「チェック項目が多く、データを管理するのが大変」25%の順だった。

 「優先順位が低い」「必要性が理解されていない」という回答からも、制度の実施の必要性を従業員に理解してもらう必要があるようだ。

 「あなたの組織では、デリバリーサービスを行っているか(自社配達、外部委託を含む)」の問いには、3割の店舗や拠点がデリバリーサービスを実施していると回答した。

 「デリバリーにおいて衛生面で気を付けていることはあるか」では、「持ち帰りや宅配に適したメニューを選定」「早く食べていただくようお客様にメッセージを送る」「小分けによる速やかな放冷を心がけている」「料理の温度を必ず10℃以下または65℃以上で管理している」と、過半数が「提供メニューを選抜している」と答えた一方、「特にしていない」という回答も1割程度みられた。

 同社は「全体的に経営層と現場従業員で差が見られ、規律として存在していても、現場で実行されていない可能性がある。本部で決めた衛生基準が現場に浸透し守られているか、継続的に管理していく必要がある」と指摘した。

 HACCPについては、厚生労働省が出している「HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き(飲食店編)」に準じて管理をすれば難しいことではない。以下のURLからPDFをダウンロードして、お店でのHACCP導入に役立てほしい。

HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き(飲食店編)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000158724.pdf