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アレルギーある人の約8割が飲食店に不安!? 入店後何も食べずに退店が約4割にも【CAN EAT調べ】

2021年2月19日 9:13 am

 食物アレルギーは、時として命にもかかわる重要な問題であり、たとえ命に別条がなくても発症すると相当の苦しみが伴うため、外食についても不安に感じている人が多い。そこで、実際にアレルギーのある人がどのように外食しているのかを調査したところ、約8割が店側に対して不安に思っていることが分かった

 アレルギーを持っている人でも外食を楽しめるようにするサービス「CAN EAT(キャンイート)」を開発・運営するCAN EAT(東京・神楽坂、田ヶ原絵里社長)は、2月20日の「アレルギーの日」と2月17〜23日の「アレルギー週間」にあわせ、「食物アレルギーに関する外食実態調査」(有効回答数:124)を実施した。

 まず、「店側のアレルギー対応に不安を感じたことはありますか?」に対し、76.6%が「はい」と回答。不安に感じた具体的な対応として、以下のような声が寄せられた。

・「確認もせずに容易に『大丈夫です』と店員に言われた」
・「店員が原材料を理解していない」
・「アレルゲンについて質問した際に『多分使っていないと思います』のような曖昧な回答をされた」
・「乳アレルギーの人は牛乳だけ避ければよいと思っているなど、加工品にもアレルゲンが使われていることをわかっていない」

 また、「お店に入った後、何らかの理由で食べずにお店を出たことがありますか?」という質問に対し、「はい」と回答した人は全体の38.7%となり、その理由として「食べられるものがなかった」「アレルギー対応を断られた」という回答が多く見られた

 実際に「外食で食物アレルギーを発症したことがありますか?」を聞いたところ、66.9%が「はい」と回答。そのうち「これまでの外食での発症原因が、回答者(もしくは家族)側とお店側のどちらにあったと思われるか?」では、「回答者もしくは家族」が約38%、「お店側」と回答した人が約31%と、あまり差はなかった。具体的な発症事例としては以下のようなことがあったという。

・提供ミスなど、完全にお店側のミスによりアレルギー物質を摂取したケース
・コンタミネーション(アレルゲン物質が材料として含まれないものの、工場の同じ設備で特定原料が使用されていたり、調理器具を共有していたりして微量混入の可能性が否定できないこと)による発症だと考えられるケース
・回答者もしくは家族が原材料を確認せずに食べてしまったケース

 続いて「実際に外食の際によく利用しているお店」を尋ねたところ、ファミリーレストランやファーストフードなど、アレルギーの一覧表が用意されているチェーン店を選ぶ人が多く、加工品の使用頻度が少なく原材料を確認しやすい寿司店や焼肉店も人気が高かった。

 一方、「食物アレルギーの観点から利用しないようにしているお店」の上位には、特定原材料7品目に該当する原材料をほとんどのメニューで使用していると考えられる「お好み焼き」(卵・小麦)や「イタリアン」(小麦)、「ラーメン」(卵・小麦)が占めた。中華料理や韓国料理、エスニック料理など、調味料や材料の種類が多く原材料の確認が難しい業態も避ける人が多かったという。

  これらの結果から、同社では「食物アレルギーがある人が利用する飲食店を決める際には、『原材料の確認ができるか』『アレルギー一覧表があるか』が大きな判断基準になっていることが推測される」とした上で、「アレルギー表示をすぐに確かめられる店は限られており、多くの人が一部のチェーン店など特定の飲食店に頼らざるを得ない。アレルギーに関する情報を得られないまま店に入り、何も食べずに店を出たことがある人や、店側の対応に不安を感じたことがある人も多く、アレルギー当事者にとって、外食はまだまだ高いハードルであることがわかった。これらの問題を解決するためには、飲食店側のアレルギーへの理解とゲストへの的確な情報提供が必須である」と訴えている。