
中小企業庁は、新規事業への進出で企業の成長・拡大を図る中小企業を支援するため、6月頃(予定)から「中小企業新事業進出補助金」の公募を始める。公募締め切りは7月10日18時まで。
「中小企業新事業進出補助金」は、中小企業が新たに提供する製品や商品、サービスが新規性のあるもので、それらの属する市場が既存事業の市場とは異なる新たな市場である場合、その事業者に最大9000万円の補助金を支給する制度。
補助金を受けるには、補助事業終了後3~5年の事業計画期間で付加価値額(または従業員1人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することなどが求められる。また、要件を満たした賃上げをした企業に対しては補助額を上乗せするが、要件を達成できなかった場合は補助金の返還を求められることになる。詳細は以下の通り。
【対象となる「新事業進出」の要件】
以下の3つのうちいずれかに該当するもの
1.製品などの新規性要件
事業により製造する製品などが、事業を行う中小企業などにとって新規性を有すること
2.市場の新規性要件
事業により製造する製品などの属する市場が、事業を行う中小企業などにとって新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う中小企業などにとって、既存事業の対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性など)を持つ顧客層を対象とする市場を指す
3.新事業売上高要件
次に掲げる要件のいずれかを満たすこと
ⅰ.事業計画期間最終年度において、新たに製造する製品などの売上高または付加価値額が、応募申請時の総売上高の10分の1または総付加価値額の100分の15以上を占めることが見込まれるものであること
ⅱ.応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間最終年度において、新たに製造する製品などの売上高または付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10分の1または付加価値額の100分の15以上を占めることが見込まれるものであること
【基本要件】
1.新事業進出要件
「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義(※上記【対象となる「新事業進出」の要件】)に該当する事業であること
2.付加価値額要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(または従業員1人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
3.賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間で以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
ⅰ.補助事業終了後3~5年の事業計画期間で1人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2~6年度の5年間)の年平均成長率以上増加させること
ⅱ.補助事業終了後3~5年の事業計画期間で、給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させること
4.事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間で毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
5.ワークライフバランス要件
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
6.金融機関要件
補助事業の実施にあたって金融機関などから資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関などから事業計画の確認を受けていること
〈賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件〉
7. 賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業実施期間内に、以下の要件を両方満たすこと
ⅰ.補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
ⅱ.補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
【補助上限額】(カッコ内は上記「賃上げ特例要件」に該当した場合の上限額)
・従業員数20⼈以下:2,500万円(3,000万円)
・従業員数21〜50⼈:4,000万円(5,000万円)
・従業員数51〜100⼈:5,500万円(7,000万円)
・従業員数101⼈以上:7,000万円(9,000万円)
※補助率は2分の1/補助下限は750万円
【補助事業期間】
交付決定日から14カ月以内(ただし採択発表日から16カ月以内)
【補助対象経費】
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
事業内容や申し込みの詳細は中小企業庁の特設サイト(https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/)で掲載している。