〈久保田〉など日本酒の酒蔵である朝日酒造(新潟・長岡、細田康社長)は、2030年で創業200周年を迎えるにあたり「次の100年を見据えた新たな挑戦」として、ジンを開発し蒸留酒事業に新規参入する。9月12日には約5億円を投資して本社敷地内に建設した「越路蒸留所」の竣工式を開催した。
ジン市場への参入を決めた理由として同社は、「国内外のジン市場の伸長と、ジンは蒸留酒の中でも原料や製法の自由度が高く、企業の独自表現が可能なこと。さらに、新潟県の米農家との持続的な繋がりと発展を目指し、将来的には米を使ったジン作りの可能性が期待できることも重要な要素としている」と説明した。
「越路蒸留所」の建築面積は580.74㎡。300Lハイブリッド式蒸留器(単式蒸留+カラム)2器と、ベーススピリッツ用タンク5000L(2本)、調合・製品タンク1500L(1本)、原酒タンク50~600L(32本)の計35本のタンク類を備え、最大生産能力は年間で約9万本。
同蒸留所で造る新たなジンの商品名は〈久保田〉を起用しつつ将来的な海外展開を見据え、〈KUBOTA GIN〉とした。16種のボタニカルをそれぞれ個別に蒸留した上で複数種類の原酒を作り、それらの原酒を最適な配合でブレンドをすることで香味を決めるという手間のかかる製法を採用。この作業により独自の世界観を香味で表現するという。
使用するボタニカルは「ジュニパーベリー、コリアンダーシード、杉の葉、クロモジ、笹の葉、ヨモギ、カモミール、リコリスルート、舞茸、甘酒、四川青山椒」など。最初にジュニパーベリーとコリアンダーシードの香りが感じられ、その後、新緑の里山の瑞々しさや清涼感ある香りから土の香りや下草の香りへと時間の経過とともにさまざま香りの変化を楽しめるという。
ボトルは、水面のようであり、木立のようでもあり、森の中のような、田んぼがある風景のような、見る人の心の中にある曖昧だけどどこか懐かしい場所を思い出し、思わず触れてみたくなるデザインとした。
アルコール度数47度、希望小売価格は700ml通常ボックスで税別5500円。生産量は年2万本を予定する。クラウドファンディングをスタートしており、2024年10月下旬以降に返礼分を出荷するという。