リクルートの外食市場に関する調査・研究機関であるホットペッパーグルメ外食総研が、首都圏・関西圏・東海圏の消費者に「初めて利用する飲食店への期待と満足度、リピート意向」について調査したところ、初来店で「強いリピート意向」を持った人は27.0%だった。
一番最近で夕方以降に初めて利用した飲食店について、事前の期待値を質問し、「覚えていない/当てはまるものはない」以外を選択した回答者全体に、店を選んだ経緯別も合わせて集計したところ、「とても期待していた」と「やや期待していた」を合わせた「期待していた・計」は84.9%だった。
「主に自分がお店を選んだ」場合は87.7%、「自分もお店選びに関わった」場合は87.9%と高く、店選びに関与していると来店前の期待値が高くなる傾向が見られた。逆に「主に他の人がお店を選んだ」場合は「期待していた・計」は76.0%に下がり、「とても期待していた」の回答割合で見ても「主に自分がお店を選んだ」場合がやはり最も高く35.3%であった。
「事前に期待していた内容」のトップ3は、「味が良さそう」(69.4%)、「お店の雰囲気、空間、居心地が良さそう」(50.2%)、「特定のメニューにひかれた」(46.1%)となり、4位の「価格が安いなど、コストパフォーマンスが良さそう」(45.5%)と、5位の「素材のクオリティが高そう」(44.9%)が僅差で続いた。
性年代別では、20代男性は飲食店に事前に期待する割合がさまざまな項目で他の性年代に比べて高く、総じて他の性年代より外食を楽しみにしている様子がうかがえた。また、20代は男女とも「見栄えのするメニューにひかれた」割合が他の性年代より高かった(20代男性47.9%、20代女性43.3%)。また、20代女性は「味が良さそう」(74.8%)で、60代女性は「お店の雰囲気、空間、居心地が良さそう」(55.7%)、「素材のクオリティが高そう」(52.0%)で、他の性年代より割合が高かった。
事前の期待を醸成した情報源では、1位が「グルメサイト、口コミサイト」(26.4%)、2位が「店構えや店先のメニューなど」(22.2%)、3位が「家族・友人・知人等からの口コミ」(14.7%)となっている。性年代別では、30代男性で「グルメサイト、口コミサイト」(34.5%)が、20・30代男性と20代女性で「SNS」(20代男性26.2%、30代男性16.8%、20代女性28.1%)が、50・60代女性で「店構えや店先のメニューなど」(50代女性27.8%、60代女性29.0%)が、それぞれ他の性年代よりも割合が高かった
利用後の満足度では、「事前の期待相当以上・計」(「事前の期待を超えて満足」+「事前の期待相当」の割合)は87.0%だった。性年代別で見ると20代男性が最も高く91.7%に達し、50代女性が最も低く83.5%となった。「事前の期待相当以上・計」はどの性年代でも8割以上に達しているため、同総研では「他の飲食店との差別化においてはあまり意味のある指標とは言えないだろう」とコメント。一方「事前の期待を超えて満足」の割合は、回答者全体で32.4%だったが、20代男性に限ると44.0%と高かった。逆に、最も割合が低かったのが60代男性(26.0%)で、男性は年代が上がるほど「事前の期待を超えて満足」の割合が下がる傾向にあり、同総研は「外食経験の豊富さからか、年配者に期待を超えて満足させるのは、やや難度が高くなる傾向があるようだ」と分析している。
また、どんな期待があると「事前の期待を超えて満足」の割合が高いかを見たところ、「お店のテーマが魅力的」と期待した場合で46.3%と最も高く、次いで「特定の調理方法にひかれた」「お店の人の対応やホスピタリティが良さそう」と期待した場合で同率の45.3%となっている。このことから、「『事前の期待相当』以上の満足度を与えることはそこまで難しくはないものの、他店との差別化のためにはさらに一段上の『事前の期待を超えて満足』を目指すことが重要であると言えそうだ」(同総研)との見方を示した。
利用後のリピート意向では、「リピート意向あり・計」(「すでにリピートした」+「すぐにリピートしたい」+「いつかはリピートしたい」の割合)は全体で85.0%であり、性年代別に見ても各性年代とも8割以上に達するが、一般的な外食頻度を考えると、この範疇に入っても現実はそこまでリピートされないかもしれない。
次に「リピート意向が強い・計」(「すでにリピートした」+「すぐにリピートしたい」)で見ると全体で27.0%に達し、性年代別では20代男性(30.2%)が最も高く、20代女性(22.6%)が最も低かったことから、同じ20代でも男女でリピート意向は大きく違っていることがわかった。この結果から、同総研は「若い世代は人口減少もあって、積極的にターゲットとして設定するにはリスクを感じる飲食店経営者もいるかもしれないが、20代男性については、事前の期待が高く、満足度もリピート意向も高いことから、将来にわたって来店が期待できる可能性を秘めていることには留意しておきたい」と助言する。
さらに、満足度とリピート意向との関係性を見てみると、「リピート意向が強い・計」は、回答者全体で27.0%だが、「事前の期待を超えて満足」した場合には最も高く37.5%に達する。これは全体と比べ10.5ポイント高い。一方、「事前の期待ほどではない」「事前の期待より大きく劣る」場合は順に12.9%、10.6%にまで下がり、全体と比べて14ポイント以上低い結果となった。
これらのことから、満足度の高低はリピート意向の強さに、当然のことながら一定の影響を及ぼすことがうかがえ、リピーター獲得のためには「事前の期待を超える満足」の提供が重要な条件であると言えそうだ。
同調査は首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県)、東海圏(愛知県、岐阜県、三重県)に住む20~69歳の男女にインターネットで実施し、9606件の有効回答を得た。