帝国データバンクは、2023年の持ち帰りを中心とした「唐揚げ店」経営業者の倒産が27件となり、かつてないペースで急増したと発表した。22年の倒産件数は3件だったため1年で9倍増となり、これまで最多だった21年(6件)を大幅に上回り過去最多を更新した。
同社によると、「倒産した唐揚げ店は、オリジナルブランドの唐揚げ店のほか、大手唐揚げチェーンのFC店、本業以外のサブビジネスとして唐揚げ事業に参入した事業者などさまざまだが、倒産した事業者の多くが1~2店舗を展開する小規模な経営業者で、水面下の閉店や廃業などを含めれば、より多くの唐揚げ店が市場から退出したとみられる」としている。
今回の倒産件数急増の背景として、「唐揚げの原材料として使用される輸入鶏肉の供給量が鳥インフルエンザの流行で減少したことや、飼料価格の高騰で牛肉・豚肉価格が上昇し、割安な鶏肉を求める消費国が増えたことが重なり、国内の鶏もも肉卸売価格は5年間で約2割上昇したこと。さらに、食用油もキャノーラ油は5年間で約7割値上がりし、価格転嫁が難しい小規模店の経営にとって打撃となった。また、コロナ禍の巣ごもり需要も下火となったほか、物価高で消費者の節約志向が強まり、専門店より3割程度安いコンビニやスーパーなどの惣菜品、半額以下の冷凍唐揚げなど、割安な競合製品に顧客が流れたことも響いた」と分析。
今後について、「唐揚げビジネスに代わり、おにぎり店など新たなテイクアウトビジネスも台頭してきており、ブームから2年が経過し、唐揚げブームの一巡もみられるなか、唐揚げで勝負する企業が増えるのか、他ビジネスへチャレンジする企業が増えるのか注目される」との見方を示した。