帝国データバンク(TDB)がまとめた、2023年度(23年4月~24年3月)の「飲食店」倒産件数(負債1000万円以上の法的整理による倒産が対象)によると、倒産件数は前年度比56.0%増の802件となり、過去最多だった19年度の784件を超えた。
業態ジャンル別で最も倒産件数が多かったのは、居酒屋を主体とする「酒場、ビヤホール」の207件(前年度比36.2%増)となり、ラーメン店を含む「中華料理店、その他の東洋料理店」130件(同88.4%増)、「西洋料理店」90件(同63.6%増)、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」72件(同125%増)が続いた。深夜時間帯での営業店舗が多い「酒場、ビヤホール」と「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を合わせると279件となり、飲食店全体の34.8%を占めた。
また、「酒場、ビヤホール」と「中華料理店、その他の東洋料理店」はいずれも過去最多の倒産件数を記録。都道府県別では、東京(129件)、大阪(95件)、兵庫(72件)などで多く、上位5都府県で全体の50.4%を占めた。
飲食企業の倒産は新型コロナ前の19年度に最も増えたが、コロナ禍対策として個人や中小事業者に実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」や休業・時短営業実施による協力金支払いなどの経営支援策が講じられたことから、その後は倒産件数が減少。22年度には514件まで減った。
23年度はコロナ禍が収束に向かって再び飲食店が賑わったが、23年夏からの「ゼロゼロ融資」の返済開始に加え、光熱費や食材価格の高騰、人手不足の深刻化、賃上げ対応など新たな経営課題が重くのしかかり採算確保が難しくなり、事業継続を断念する事業者が急増した。「直近で『ゼロゼロ融資』の返済の波が再びやってきていることも踏まえると、24年度も倒産件数は高水準と思われる」(TDB)という。