日本フードサービス協会(JF)が、会員社を対象としてまとめた2023年(1~12月)の外食産業市場動向調査(下図参照)によると、23年の全店ベースの全業態合計売上高は前年比14.1%増となり、コロナ前の19年比でも7.7%増になった。
23年は1月に新型コロナ第8波があったものの、3月に「マスク着用の緩
和」、5月には新型コロナ感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行するなど、新型コロナ対策としての行動制限が緩和から解除へと進み、社会経済環境は「ポストコロナ」へ移った。また、4月に入国規制などの水際対策が終了し、訪日外国人数が回復してインバウンド(訪日外国人旅行)需要が拡大したことも売上増の一因となった。
売上の回復傾向は続いているものの、客単価の上昇(前年比107.3%)によるところが大きく、客数についてはまだ19年の水準まで回復しておらず19年比90.9%(推定値)となった。また「人手不足の常態化」など、外食産業を取り巻く環境は「ポストコロナ」となっても依然厳しい状況が続いている。
業態別にみると、「ファストフード」が前年比110.4%(19 年比120.1%)とコロナ禍による行動制限がなくなった後も、テイクアウトとデリバリーの定着などで好調を維持している。
一方で「ファミリーレストラン」同117.5%(同98.9%)、「ディナーレストラン」同122.7%(同93.6%)、「喫茶」同120.6%(同96.2%)、「パブ/居酒屋」同134.9%(同66.5%)などの店内飲食が主体の業態は、回復基調にあるもののコロナ前の売上水準には戻っていない。
特に「パブ/居酒屋」はコロナの5類移行などで、忘年会など宴会需要も回復しつつあるが、店舗数自体が19年比69.0%と減少しており、かつての水準には未だ遠い状況となっている。