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「外食アワード2023」に「アロハテーブル」鈴木氏ら7氏が選出!【外食産業記者会】

2023年12月5日 10:00 am

 外食産業関連の専門紙誌で構成し、本紙も加盟する「外食産業記者会」は、外食業界で活躍した人を表彰する「外食アワード2023」(特別協賛・焼肉ビジネスフェア事務局/居酒屋JAPAN事務局)を決定した。

 「アロハテーブル」などを運営するゼットン鈴木伸典代表取締役社長をはじめとする外食事業者2氏、中間流通・外食支援事業者2氏、食材事業者1氏、また今回で20回目となる外食アワードを記念した「外食アワード20周年特別賞」として、「紅虎餃子房」などを展開する際コーポレーション中島武代表取締役と、「モンスーンカフェ」などを運営するグローバルダイニング長谷川耕造代表取締役社長の計7氏を選出した。

 外食アワードは外食産業記者会の創立25周年の記念事業として始まり、今回で20回目を迎える。「外食アワード2023」の表彰式・レセプションは24年1月17日15時から、東京・池袋サンシャインシティ文化会館ビルで開催する「外食ソリューションEXPO」(「焼肉ビジネスフェア2024」「居酒屋JAPAN2024」の同時開催・相互乗り入れ)のセミナー会場で行う。受賞者は次のとおり(受賞者名=受賞理由・敬称略)。


【外食事業者部門】

 鈴木 伸典(ゼットン代表取締役社長)=『店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。』を、理念に掲げるゼットンは、店づくりを通じて人と人との関わりや街のコミュニティスペースを生み出してきた。

 なかでも経営理念がより具現化されたのが2019年3月にスタートした「葛西臨海公園」の再生事業。同社初の都市公園プロデュースプロジェクトとして、公園の賑わいや魅力を創出した。2023年4月、横浜・山下公園にオープンした「THE WHARF HOUSE(ザ・ワーフハウス)」は、飲食のみならず、足湯など複数のコンテンツを組み合わせたことで人が集まる場所、地域コミュニティの結節点となる施設として注目を集めた。同社の公園再生事業は、フラッグシップになりつつあり、外食企業の可能性を拡げた。

 佐野 直史(ファッズ代表取締役社長)=新型コロナの影響で、大型店舗を中心に大手居酒屋チェーンが大きく店舗を削減する中で、大箱居酒屋を現代のニーズにマッチする形で再構築したのが「新時代」だ。若者だけでなく、幅広い層に支持され、東京・秋葉原「新時代」2店舗で実に年商10億円を叩き出す。コロナ禍の2年間で70店舗を出店、その勢いは現在も続いている。

 この基幹ブランドだけではなく、佐野社長の強烈なトップダウンによるスピード経営を武器に、「新時代44」、焼鳥の「鳥ぶら」、鴨料理の「とんぺら屋」、タイ政府から認定された本物のタイ料理を振る舞う「スコンター」、韓国料理の「ネスタル」と6つのブランドを立ち上げ、いずれも成長路線を進んでいる。

【中間流通・外食支援事業者部門】

 佐藤 達也(三菱食品執行役員フードサービス本部長)=特約店経由で飲食店に食材を卸売りする「リクエ事業」の前期売上高は、2006年の同事業発足以降最高となる170億円超と、コロナ前の水準を上回った。

 飲食店の要望に応え、冷凍・冷蔵・常温の加工食品だけでなく、酒類、生鮮3品、清掃用品、資材等、計1万品を超える商品を常時取り揃え、ワンストップ購買、ワンストップ決済へのニーズを満たしたことで2022年度第3四半期以降、一顧客当たりの物量が急激に増加している。

 2024年度の同事業売上高は200億円超の見通し。佐藤氏は「中小飲食店」と呼ばず、「SMB(Small to Medium Business)飲食店」との言い方が一般化するよう、啓発活動にも取り組んでいる。

 鈴木 美奈子(鈴茂器工代表取締役社長)=シャリ玉を成型するロボットやご飯盛り付けロボット「Fuwarica」を手掛ける米飯加工機械のトップメーカー。人の手で行う以上の提供クオリティを実現することで、回転寿司チェーンやファストフード、昨今ブームのすし酒場など、米飯を取り扱う国内外のあらゆる飲食店において店舗業務の効率化と人手不足対策に大きな貢献を果たしている。

 特に2023年はアフターコロナとしての需要回復もあって人手不足が深刻化する外食業界にあって真価を発揮。業界の力強い復活の足取りを支えた。近年のM&Aを経て外食DXのトータルソリューション企業にも変ぼうしている。

【食材事業者部門】

 鳥井 信宏(サントリーホールディングス代表取締役副社長・サントリー代表取締役社長)=業務用では珍しい糖質ゼロのビール、「パーフェクトサントリービール(PSB)」を樽で飲食店へ導入を進め、「健康が気になるが飲食店でおいしいビールを飲みたい」というニーズに応えた。

 また、3つの和素材を使用し、食事に合うと謳う「サントリージャパニーズジン〈翠〉(SUI)」により、近年盛り上がるクラフトジンを含めたジンの市場の裾野を大きく広げた。いずれも業務用と家庭用をうまく連携しつつ販売を推進しており、コロナ禍で酒や外食離れが叫ばれる中、飲食店に寄り添い、外食に新しい価値を打ち出している。

【外食アワード20周年特別賞】

 中島 武(際コーポレーション代表取締役)=1990年に設立した際コーポレーションを率いて、「紅虎餃子房」(ベニトラギョウザボウ)、「万豚記」(ワンツーチィ)など中国地方料理をモチーフとした飲食店を展開し、アートな感覚に満ちた飲食業を切り拓いた。近年ではとんかつ「富士㐂」、うなぎ「にょろ助」によって伝統的な業種業態の活性化に務めている。

 コロナ禍にあっては2021年1月、都知事宛てに時短営業に対する協力金を中小企業だけではなく大企業にも広げる要望書を提出するなど、飲食業界の発展に尽力している。

 長谷川 耕造(グローバルダイニング代表取締役社長)=2023年12月で創業50周年を迎えた同社は、日本のレストランシーンを数多く作ってきた。大箱によるエンターテイメントレストランは当時、日本にでは珍しく、その格好良さに多くの若者が魅了され、お客として来店するだけでなく、「ここで働いてみたい」と、飲食業界を目指す若者の憧れの会社としても一世を風靡し、数多くの飲食経営者を輩出した。

 コロナ禍で再び、その魅力が若年層を中心に再認識されたほか、インバウンド需要を取り込み、業績はコロナ禍前を大きく上回っている。また、新たな飲食シーンの提案として、那須塩原に宿泊・食の複合施設の建設に着手。24年11月のオープンを目指している。

 なお、同記者会が選んだ23年の外食キーワードは「5類移行」「エッグショック」「Z世代」「4ケタラーメン」「再開発ラッシュ」「もんじゃ」。