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国産羊肉の輸出産業化目指し「羊肉」と「循環型畜産」のプロが協業!【SHEEP SUNRISE×ザッツ・オールライト×GOODGOOD】

2023年11月29日 11:49 am

 羊業界全体の活性化を目指すユニット「SHEEP FREAKS」を運営するSHEEP SUNRISE(東京・麻布十番、関澤波留人社長)と、ブランディング事業などを手掛けるザッツ・オールライト(東京・南青山、磯野健二社長)、ヘルシーで環境や社会、人に配慮した循環型畜産を手掛けるGOODGOOD(大阪・宮原、野々宮秀樹・半田光正共同代表)の3社は、日本産の高品質羊肉を輸出産業化するため、飼料生産から遺伝子管理、繁殖、育成、肥育、加工、マーケティングのすべてを1カ所でおこなう国産羊肉生産拠点を北海道厚真町に構築する。

 国産肉用羊の飼養頭数は1万9992頭(2021年農林水産省調査) と、国産肉用牛の飼養頭数約260万頭(同調査)と比べて非常に少なく、これまでは国内消費のみを前提としていた。また、生産者同士の連携やノウハウの共有が他の畜種に比べてあまり活発でないことに加えて、生産、加工、マーケティングのノウハウが事業者ごとに点在しており、体系だった整理がされていないという課題がある。

 一方で羊肉は、ヘルシーでエコな畜産物という認知が拡がっており、牛肉や豚肉のような宗教的禁忌がなく誰でも食せるため、消費量も増加の一途を辿っている。その一例として、羊肉輸出大国のオーストラリアの羊肉輸出量は、12年から22年の10年間で約1.45倍に増加しているという。

試験飼育中の自家繁殖羊たち(仔羊)

 そこで3社は、羊肉産業に関するすべてのノウハウを集積、整理、改良し続ける実践場を構築し、日本産の羊肉業界を高度化し輸出産業化することを目指すために協業することを決めた。「SHEEP FREAKS」は、都内に〈羊SUNRISE〉を2店舗運営する関澤波留人氏とホテル「プルマン東京田町」エグゼクティブシェフの福田浩二氏 、ザッツ・オールライトの梅田武志氏の3人が2021年に立ち上げた羊普及ユニット

 GOODGOODは、熊本・阿蘇と北海道に自社牧場を持ち、自然生態系の力を活用し、家畜福祉に配慮したエシカル(倫理的)な循環型畜産形態で牛などを育てている。主にあか牛の牧草和牛(グラスフェッド和牛)が中心で、関西で直営の精肉店やレストランを運営するほか、BtoB、BtoCでの販売も手掛けている次世代型畜産ベンチャーだ。

 今後3社は、GOODGOODが保有する北海道と阿蘇の約500ha(約150万坪)の牧場の牧草資源を基盤として、海外からの生体導入と家畜改良センターの優良遺伝子を活用し、25年を目処に2000頭程度に増頭。生産販売一貫体制の強みを活かし、多品種の交配を試験し、国際的な羊肉の味覚ニーズをいち早く反映させた羊を生産していくという。

 同時に、牧草飼料多給飼育に加え、放牧管理や畜舎内での発情検知などの畜産DX化も進め、生産の高効率化・省力化も追求し、それらのノウハウを体系化して、遺伝子提供や研修の受入など外部の事業者に積極的に情報提供し、国内の羊畜産を輸出産業化するプラットフォームを構築することを目指す。

SHEEP SUNRISE代表取締役・関澤波留人氏

 SHEEP SUNRISE代表取締役の関澤波留人氏は今回の協業について、「羊肉の需要が高まる一方で、多くの羊飼いが放牧による寄生虫リスクや種畜問題を抱え、容易に飼養頭数を増やせない現状があり、また新規就農希望者にとっても国内での羊調達が難しくなっています。どのように日本で持続可能な羊産業を構築するか。国内外のさまざまな羊飼いを訪問し学ばせていただいた私たちが出した結論は、〝数千頭規模での放牧〟でした。ただ、行政やJAによるサポートが希薄な羊産業で、どうやって根本的な問題解決をするのか。そんな壁にぶつかった時に出会ったのがGOODGOODです。彼らが取り組む『放牧』『牧草』『健康』をテーマにした畜産は、日本国内で羊を多頭飼いするヒントに繋がり、それを実現する為のパッションをお互いが持ち合わせていたことで共同事業へと発展しました」と経緯を説明する。