「中国産の酒」と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは「紹興酒」だろう。ガチ中華好きなら「白酒(ばいじゅう)」を挙げるかもしれない。そんななか、中国産ワインの人気が世界的にも高まりつつあるのをご存じだろうか。
先日、中国最大のワインメーカーである張裕(チャンユー)の日本販売代理店・モセル(山梨県中巨摩郡、張業金社長)による「張裕プレミアムワインセミナー」が開催された。
張裕は、1892年に中国の山東省・煙台(エンタイ)で張裕葡萄醸酒公司により設立され、中国で初めてワインやブランデーの醸造に成功したという創業131年の老舗ブランドだ。
煙台は首都・北京と上海のほぼ中間に位置しており、現在は港湾都市として経済発展している。また山東省はフランス・ボルドー地域とほぼ同じ緯度に位置しており、海も近く比較的温暖な気候環境がブドウ栽培に適しているのだという。
1987年にはOIV(国際ブドウ・ブドウ酒機構)にアジアで唯一「国際葡萄・ワイン都市」として認定され、2020年に英・ロンドンで行われた「世界ベストセラーワインブランド ブラインドティスティングコンテスト」では世界ナンバーワンを受賞するなど、高い評価を得ている。
現在は中国を中心に世界中に21カ所のワイナリーを所有し、海外のシャトーを含めた畑の総面積は約1万6667ヘクタール(約25万ムー、1ヘクタール=15ムー)にもなる。また、各ワインやブランデーの発売を記念して造られた「シャトー(城)」なども敷地内にあり、現在は70カ国でワインを販売する。
張裕が発売するワインの中でも「ノーブルドラゴン」シリーズには、蛇龍珠(シャーロンジュウ)というブドウが使用されている。
蛇龍珠は中国のみでしか栽培されていない赤ワイン用のブドウ品種で、欧州ではカベルネ・ガーニッシュと呼ばれる。濃い青色の小さな粒で、カシス、ラズベリーレットベリー、ハーブなどの香りが特徴だという。
セミナーで試飲したところ、魚介や牛肉との相性もよく、和洋中何にでも合わせやすい印象を持った。モセルでは「北京ダック、麻婆豆腐、エビチリなどの中国料理と非常によく合う」という。価格も2000円台から手軽に入手できる。