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35年前に開発した逆輸入ホップで個性派ビールを!【サッポロビール】

2019年5月15日 7:48 pm

 サッポロビールは、1984年に北海道・上富良野のバイオ研究開発部で開発した個性的な香りが特徴のホップ「ソラチエース」を使った〈Innovative Brewer SORACHI1984〉(以下〈SORACHI1984〉)を開発し、市販用と業務用樽生10Lを全国発売した。通年で全国販売するビールカテゴリーの新製品としては11年ぶりとなる。

 「ソラチエース」は、開発当初は香りが強すぎると日本で受け入れられなかったため、94年に米国に持って行ったところ、海外の有名ブリュワリーなどでも採用された品種。〈SORACHI1984〉はヒノキやスギ、レモングラスのような香りが広がり、爽快さの中に余韻も楽しめる味わいが特徴だ。新らしいビール文化創造に挑戦するブランドとして17年10月に立ち上げた「Innovative Brewer」のフラッグシップと位置付ける。

 今後のブランド戦略として、〈SORACHI1984〉が含まれる、ホップの魅力を追求する「That’s HOP!」と、従来のビールの概念を変える革新性を追求する「That’s WOW!」の二つのカテゴリーで製品開発を進める。今年中に「That’s WOW!」でも市販向け3製品の発売を予定しており、第1弾としてフレーバー炭酸水のような飲みやすさが特徴の〈Innovative Brewer SKY PILS〉を6月11日から数量限定で販売する。
 髙島英也社長は「サッポロらしい本格感にこだわった。クラフトブームが一段落して、本物の味を求めるようになったこのタイミングだからこそ、世に問うてみたいと発売した。当社は世界で唯一、大麦とホップの両方を育種している強みがあり、まだ世に出していないホップが20品種以上あるので、それらを使いながら、驚きや楽しさを提案する製品を作っていく」と話した。

 ターゲットが限定的であることからCMなどのマス広告は実施せず、SNSでの拡散やセミナー、イベントなどの開催で認知度を高めていく。
〈SORACHI1984〉樽生の初年度販売計画は2万4000ケース(大瓶換算)で、「That’s WOW!」の製品に関しては現在のところ業務用は予定していない。「Innovative Brewer」ブランド全体での販売目標として5年で100万ケース(同)を設定し、そのうち業務用は10%程度になる見通し。

日本外食新聞2019年4月25日号掲載