信用調査大手の東京商工リサーチは、国内の外食チェーン店事業者122社を対象に、22年1月以降の値上げまたは値上げを伴う価格改定の公表動向に関して、前回7月調査に続き9月上旬までの最新動向をまとめた。
それによると、メニューの値上げを公表したのは全体の58.1%にあたる71社。前回調査(44.1%にあたる53社)以降増加し、全体の約6割を占めた。71社が展開する88ブランドが値上げを公表し、業態別では前回調査では11ブランドと最も多かった「ファストフード」は12ブランドと横ばいだった半面、8ブランドだった「ステーキ・焼肉」が輸入食材の物流コスト増を背景に12ブランドまで増えて並んだ。そんな中、今回最多だったのは小麦粉の仕入れコスト上昇が響く「中華・ラーメン」で、前回の9ブランドから16ブランドとほぼ倍増した。
各社の値上げ対象のメニューから代表的な商品を抽出してその値上率を調査した結果では、値上げ率が判明した44ブランドのうち、全体の56.8%(25ブランド)で最も多かったのは「5%以上10%未満」だった。10%以上の値上げの例は25%を占める11ブランドとなり前回から特に増えた。東京商工リサーチは幸楽苑ホールディングスが値上げと同時にメニュー増量をアナウンスした点について、値上げのマイナスイメージを払しょくする工夫と評価した。
値上げ公表88ブランドのうち、値上げ理由の分布調査(複数回答可)では、前回と変わらず原材料高騰とする回答が最も多く、全体の85.2%を占める75ブランド(前回は83.3%を占める55ブランド)。当初はファストフードやコーヒーショップ、ステーキ・焼肉などで小麦や肉、コーヒー豆の高騰から値上げするチェーン店が相次いだが、ここにきて寿司(回転寿司)店でも円安による輸入魚介類の価格上昇や品薄を理由にした値上げが出ている。