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ネット予約の伸び率がグルメサイト・自社メディア共に約60%増に【エビソル調べ】

2024年3月5日 8:29 am

 飲食店向けクラウド型予約管理システム〈ebica〉を運営するエビソル(東京・恵比寿、田中宏彰社長)が発表した「飲食店予約レポート2024」によると、ネット予約の経路別の伸び率は、グルメサイトが前年比61.2%増(以下、比率はすべて前年比)、オウンドメディアが56.1%増と共に約60%伸長したことが分かった。またSNSやGoogle経由の予約では、母数自体は少ないものの前年の2.5倍以上に拡大した。

 同レポートは約1万5000店舗の飲食店が導入する〈ebica〉のデータを基に毎年作成するもの。2023年の飲食店の予約数は、コロナ前(19年)と比較して、初めて年間を通して全ての週で上回る結果となった。

 全ての予約の伸び率は48.6%増となり、予約手段別で見ると、ネット予約が58.9%増と大幅な伸びを示した。ただし、電話予約も40.8%増と回復しており、同社は「飲食店にとっては営業中の予約電話の対応にリソースを取られるなど、急速な需要増加に対する体制構築や経営効率化が1つのテーマとなった」と分析している。

 経路別のうちオウンドメディアをさらに種類別に見てみると、自社ホームページや会員アプリ、LINE公式アカウントが48.6%増で、InstagramなどのSNSが183.4%増、「Googleで予約」などのGoogleサービスが105.0%増にのぼる

 この要因として、「『Googleで予約』では国内だけでなくインバウンドによる予約が急増していることや、検索プラットフォームやInstagram・LINEといったSNSによる飲食店検索・予約サービスの強化により、消費者の検索導線が変化したことが考えられる」(同社)という。

 予約件数の時間帯別内訳では、ランチ/カフェタイム(11~16時)、アーリータイム(16~18時)に加え、ピークタイム(18~21時)でも初めて19年の数字を超えた。さらに、時間帯別の予約1組あたりの人数を忘年会シーズンの12月で比較すると、コロナ前の19年12月の平均5.1人に比べ、22年12月は全時間帯の全てで1組あたりの人数が平均約1人分減少。23年12月は1組あたりの平均人数が4.5人と増加傾向にあり、同社は「19年時には及ばないものの、より多くの組数を入れるために回転重視で集客する傾向にシフトしていた昨年に比べ、24年は1組あたりの人数自体も一層拡大していくことが期待される」との見方を示した。

 同社は今回の結果を受けて、「コロナ禍によって最も大きな打撃を受けた産業の1つでもある外食産業は、3年間さまざまな企業努力によりサービスの質や手段など、そのあり方をブラッシュアップし続けてきた。そして24年、インバウンドの急増などの追い風もあり、引き続き外食需要が見込まれるなか、高まる需要に対する人手不足や経営効率化など、依然して存在する課題への対応がより緊迫したレベルで求められている。24年はサービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化やWEBマーケティングへの取り組みが23年以上に進んでいくことに加え、コロナ禍の逆とも言える高まる需要に対応しながら売上を最大化させていく方法を飲食店全体に求められることが考えられる」と総括した。