帝国データバンクが、2023年1月時点での従業員の過不足状況を調査したところ、「飲食店」の非正社員の人手不足割合がコロナ(20年4月)以降過去最高となる80.4%で業種別では2位となった。1位の「旅館・ホテル」との2業種で、群を抜いた人手不足状態に陥っている現状が明らかとなった。
同調査では、飲食店業界から、コロナ禍の相次ぐ時短営業で離れてしまった働き手が戻ってこないという声が多く聞かれ、「モバイルオーダーを導入し、さらに効率化を進めようと配膳ロボットを導入しようとしたが店舗のレイアウトの関係で難しく、次の手を模索している」(福岡県、酒場・ビヤホール)といったように、あらゆる打ち手を重ねているが苦戦が続く状況がみられたという。
一方、正社員の人手不足割合は60.9%と高い水準ではあるものの22年1月に比べると4.2ポイント改善しており業種別ランキングでは9位だった。
同社は今後の見通しとして、「既に人手不足による悪影響は顔を見せ始めており、22年に人手不足を理由にした倒産は140件と19年以来3年ぶりの増加となった。23年に活発化するであろう『賃上げの波』についていけず、人手不足を解消できぬまま経営に行き詰るリスクは業界を問わず高まっており、これまで以上に懸念する必要がある。賃上げとそれにともなう人手不足の解消は、23年の景気を左右する最重要事項になると予想される」との見方を示した。
同調査は2023年1月18日~31日に、全国2万7362社を対象に実施され、1万1719社から有効回答(回答率42.8%)を得た。