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世界初! 超音波AI技術により尾切りしない冷凍マグロの鮮度評価に成功!!【東海大学×富士通】

2022年12月22日 8:54 am

 東海大学静岡キャンパスの海洋学部水産学科の後藤慶一教授と富士通の共同研究グループは、超音波検査で取得されたデータ処理に特化したAI技術を活用することで、冷凍マグロの鮮度を冷凍状態のまま非破壊で評価することに世界で初めて成功した。

 冷凍マグロの品質の判別は、マグロの尾の断面を熟練者が目視で確認する「尾切り選別」をはじめ破壊的検査が主流であり、検査可能なタイミングや場所、検査者が限定されている。一方、超音波で身を切らずに鮮度を検査する手法では、冷凍マグロの肉質により超音波が減衰する影響が大きいという課題があった。

超音波AI検査システムの画面イメージ

 この課題を解決するため、共同研究グループは冷凍マグロを超音波検査するには500kHz程度の比較的周波数の低い超音波が最適であることを突き止めた。続いて、正常な検体に比べて死後硬直が進んでいる鮮度不良の検体では、中骨からの反射波に特徴があるという点に着目。機械学習により非破壊で鮮度判定することに成功した。

 この成果により、マグロの身を切ることなく冷凍マグロの価値を維持しながら、場所を問わず誰でも冷凍マグロを品質評価できるようになるので、例えば、水産商社が漁師からマグロを購入する際に、ハンディターミナル形式で数カ所かざすことで全体の鮮度を容易に検査したり、漁港などでベルトコンベアに冷凍マグロを乗せて自動一括検査を実現することも可能になるという。

利用イメージ

 両者は今後、マグロの検体数を増やすことで超音波AI技術の精度向上を図るとともに、血栓や腫瘍などの鮮度不良以外の異常検知にも取り組む。さらに、水産加工工場などの現場での実証実験を進めながら、冷凍物を扱う畜産業や医療・バイオ分野などにも幅広く応用する研究を続けるとしている。