特集開発秘話

きっかけはパパ友のある一言だった―計画5年、試験醸造350回以上の末に誕生した〈キリン一番搾り糖質ゼロ〉とはどんなビールか?

2020年8月29日 8:44 am

 同社によると、コロナ禍による健康志向の高まりと、20年10月の酒税法改正により、ビールにかかる酒税が350mLあたり77円から70円に減税されることから、ビールカテゴリーの再成長が見込めると判断。現に、20年1~7月の糖質オフ・ゼロ系ビール類では、〈淡麗グリーンラベル〉は対前年比で104%に。〈端麗プラチナダブル〉も106%、〈キリンのどごしZERO〉は111%と、いずれも伸長している。

キリンビールの資料より引用

 また、マーケティング調査会社の富士経済(東京・日本橋、清口正夫社長)が19年7月に発表した「ウエルネス食品市場の将来展望 2019」(https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=111901828)によると、国内の糖質オフ・ゼロ市場は9割以上がアルコール飲料だ。この市場はここ数年で堅調な拡大を続けており、19年の市場規模は、対前年比103%増の3612億円となった。

富士経済「ウエルネス食品市場の将来展望 2019」より引用

 さらに、健康を意識するビール類購入者と糖質オフ・ゼロ系ビール類購入者の差は約2100万人いると推定される。つまり、「おいしいビールが飲みたい」と、「健康にいい」という両方のニーズが満たせれば、この2100万人を取り込める可能性が高い。

キリンビールの資料より引用

 同社は、ここ数年続いてきた「健康志向」の高まりが、新型コロナウイルス感染拡大によってさらに加速が予想されることから、〈キリン一番搾り 糖質ゼロ〉の販売予定数を約120万ケース(大びん換算・1万5000kL)とする。

 まずは市販用として発売される〈キリン一番搾り 糖質ゼロ〉だが、業務用として販売される日もそう遠くはないかもしれない。