飲食店向け予約管理システム「ebica(エビカ)」を運営するエビソル(東京・恵比寿、田中宏彰社長)は10月1日、電話予約をAIスタッフ「さゆり」が受け付ける新サービス「AIレセプション」(http://www.ebica.jp/lp-aireception/)の提供を始める。LINEが開発した「LINE AiCall」と「ebica」の予約台帳を組み合わせたもので、希望日時に空席があればそのまま受け付け、満席だった場合は、予約できる最も近い時間でいくつかの候補を電話のやり取りの中で示すほか、近くの系列店を案内することもできる。
ウェブでの予約が浸透してきてはいるものの、「ebica」の予約データを見るとウェブ予約が46%、電話予約が54%と電話予約が過半を占めている。また最近は、コロナ禍で営業時間の変更があったことなども影響し、ピークタイムの直前に電話で予約する件数が急増している。そのため、スタッフを減らして運営している店も多いことから、電話対応が今まで以上に負担となっているという。
そこで、昨年11月から実証実験を進めていたAIスタッフ「さゆり」による電話予約を本格導入することとした。エビソルの田中社長は「営業時間外やピークタイムなどに電話に出られないことで、当社調べで3割のお客さんを取り逃がしている。AIが24時間、直前・当日・事前予約の受け付けと予約内容の確認をしてくれるので、スタッフの負担は大幅に減り、接客や調理に専念できる」と話す。
「ebica」は、「ぐるなび」や「食べログ」など複数のグルメサイトの予約機能を利用している店舗向けに、予約・空席情報をリアルタイムで取り込み、Wブッキングを防止できる空席管理システム「グルメサイトコントローラー」を搭載している。「AIレセプション」もそこに組み込まれ、予約が確定すると即時に予約情報が入力される。また、AIが答えられない問い合わせなどは店舗に電話が引き継がれ、店側の管理画面にどのような問い合わせで転送されたかの内容を確認できるので、それを見てスムーズに対応できる仕組みとなっている。
LINEのスマートスピーカー「CLOVA」とチャットボットの技術を組み合わせた「LINE AiCall」は、日本語に特化して開発が進められたことで、人が会話しているのと同じような滑らかな受け答えを実現。AIの質問を無視して「〇月×日に△人を予約したい」と一気に伝えたとしても、その内容を把握して確認しながら予約を受け付けるなど、より人間に近い応対を可能とした。
利用料金は100通話まで税別1万5000円となり、それ以上は1通話あたり同150円かかる。同社では業態などによるものの、月200~250通話が平均になるのではと想定している。