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10年ぶりに一新した〈キリンラガー〉は130年超の歴史!麒麟イラストに「隠れキリン」の遊び心も健在!!

2020年7月16日 2:07 pm

 キリンビールは、〈キリンラガービール〉を10年ぶりにリニューアルした。びん・樽製品は9月上旬製造品から、缶製品は7月中旬製造品から順次切り替えていく。

 今回のリニューアルは10年ぶりだが、〈キリンラガービール〉は実は130年以上もの歴史があるのをご存じだろうか。

キリンラガービールの生い立ち

 1888(明治21)年、当初は〈キリンビール〉という名称で誕生した。商標を「麒麟」にしようと提案したのは、三菱の荘田平五郎氏。当時、西洋から輸入されていたビールのラベルに動物の絵柄が描かれていたことから、東洋の想像上の動物で幸福・吉兆の象徴である「麒麟」を採用したのではないかといわれている。

キリンビールのサイトから引用

 

〈キリンラガービール〉ラベルの変遷

 〈キリンビール〉を製造していたジャパン・ブルワリー・カンパニーは、品質の良い、本格的なドイツ風のビールを醸造することにこだわった。まず、ドイツから資格ある醸造技師を招聘し、麦芽・ホップなどの原料や機械設備にいたるまでをドイツから輸入したというから、相当に力を入れていたことが伺える。

 品質面では、ビールの分析結果を株主総会で報告したり、麦芽やホップなどの原材料だけではなく、びんや栓の品質についても重役会で議論したりするなどしてこだわり続けた。

 1907(明治40)年、「キリンビール」の商標は、その品質へのこだわりとともに、ジャパン・ブルワリー・カンパニーから麒麟麦酒株式会社に引き継がれた。以後、〈キリンビール〉に描かれた聖獣「麒麟」の図柄は、〈キリン黒ビール〉〈キリンスタウト〉など、他のビールにも使われるようになる。また、社名でもある「キリン」というブランドは、〈キリンレモン〉などの清涼飲料にも拡がっていった。

キリンビールの味が途絶える危機!?

 太平洋戦争前後の混乱期、ビールは配給の対象となり、商標は一時期姿を消す。終戦の年にはビール醸造停止の勧告が出されたが、醸造が完全に停止する前に終戦を迎え、〈キリンビール〉の醸造に欠かせないビール酵母は何とか受け継ぐことができたという。ということは、もし醸造が停止していたら、〈キリンビール〉の味は今に受け継がれなかったかもしれないのだ。

 終戦から4年後の1949(昭和24)年、〈キリンビール〉は青一色刷りのラベルで復活した。高度経済成長期に入ると、ラベルは多色刷りに戻り、ビールの生産量は1年につき増加率約20%という驚異的なスピードで増えていった。増産体制がとられ、戦前に4カ所だった工場は、1972(昭和47)年には12カ所となった。

 1988(昭和63)年、〈キリンビール〉の商品名は〈キリンラガービール〉となったが、ラベルのデザインは130年以上経った今もほとんど変わっていない。

麒麟の中に隠されたキリン

 ちなみに、ラベルの中には「キ」「リ」「ン」の3文字が隠されているのをご存じだろうか。同社によると、確認できている範囲では、1933(昭和8)年のラベルにはすでに描かれていたという。この隠し文字は、模造品を防止するために描かれたという説や、デザイナーの遊び心だったのでは? など諸説あるが、理由は分かってないという。

現在の〈キリンラガービール〉の隠し文字(キリンのサイトより引用)

現在の〈キリンラガービール〉の隠し文字(キリンのサイトより引用)

 一方の中身は、時代の嗜好に応じてブラッシュアップしていき、よりおいしい味わいを追求している。今回のリニューアルでは、爽やかな香りと苦味が特徴のドイツ産ヘルスブルッカーホップを使用し、飲みごたえと締まりのある後味を実現。

 また、苦味・渋味の強いホップの比率を減らし、穏やかな苦味をもたらすホップの比率を増やしたことで、飲みごたえ・苦味はそのままに、酸味や雑味が突出した印象を抑え、よりバランスのとれた飲み飽きない味へと進化させた。さらに仕込工程で酸味を抑える工夫も行ったという。パッケージも、伝統的なデザインを引き継ぎながら「本格感」「品質感」を強化したデザインにブラッシュアップした。

 〈キリンラガービール〉がリニューアルする9月以降、130年以上の間愛されてきた歴史に思いをはせながら、お店で提供する時に、歴史の蘊蓄(うんちく)を披露するのもいいかもしれない。

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