POS/注文ピックアップ役立つシステム

キリンシティ新業態でLINE連携のスマホ注文導入!来店・注文データをアカウントごとに蓄積も【Okage】

2019年12月10日 11:33 am

 

 キリンシティは、東京・恵比寿に12月11日オープンする初のクラフトビール専門レストラン「クラフトマルシェ by Kirin City」の1号店で、LINE IDと注文・決済履歴を紐づけできるようにした「セルフオーダー&ペイ」システムを導入した。

 「クラフトマルシェ」は同社にとって3番目のブランドで、「キリンシティ」の利用者が50~60代に移っていることから、20代の新規顧客獲得を目的に、予約や店内での注文、会計をスマートフォンだけで行うシステムを初導入した。そのために「LINE」のプラットフォームと、電子メニュー作成やモバイルオーダーシステム「Okageシリーズ」を手掛けるOkage(東京・築地、内田善久社長)のシステムを、キリンホールディングスのデータベースに繋げた。キリンホールディングス デジタルマーケティング部の合原康成主幹は「自社開発にこだわらず、それぞれのシステムを繋げることで、開発の負荷をかけずにセルフオーダーを導入できた」とその狙いを説明した。

「LINE」のメッセージからメニュー画面に移る

 今回のシステムの最大の特徴は、顧客のLINE IDと注文・決済の履歴を紐づけられる点だ。これにより、これまで何回来店したか、その際に何を注文したかのデータがすべて蓄積されるため、「LINE」のメッセージを通して、その人に合ったメニューの紹介やクーポンの発行、最後の来店から時間が空いた場合の販促などに役立て、再来店を促す

 これまでOkageシリーズを導入した飲食店では、人件費の削減に加えて、「すみません」と店員を呼ぶ掛け声がなくなり店の雰囲気が良くなったり、店員を待たずに注文できることから回転率がアップし、追加注文のしやすさから単価も上がるという効果が出ているという。

 Okageの内田社長は「全データをリアルタイムにクラウド上のデータベースに共通化できるのが当社サービスの特徴今後、接客に活かせるように、これらのデータを見ながら、お客さんにドリンクやメニューをオススメできる機能も開発していきたい」との展望を話した。キリンシティも「同サービスが開発された際は検討したい」と話した。

右からOkage・内田善久社長、キリンシティ・江田雄太社長、キリンホールディングス デジタルマーケティング部・合原康成主幹

 利用方法は、まず来店客が席に着くと、テーブル毎に発行するワンタイムQRコード(不正防止のため、会計すると使えなくなるQRコード。特許出願中)を渡し、スマホでそれを読み込むと、「LINE」に「クラフトマルシェ」を「お友達追加」するよう促される。その後「LINE」上から同店のメニュー画面に移り、画面上に表示されるドリンクや料理をタップして注文する仕組みだ。メニュー画面は、紙のメニューと同じデザインのまま電子メニュー化するOkageが保有する特許技術を採用。メニュー画面の商品写真や文字部分をタップするだけでカートに入り、確定すれば注文完了となる。

 会計時はスマホからそのまま「LINE Pay」で支払う方法に加えて、レジで他の電子マネーやQRコード、クレジットカード、現金で支払うこともできる。LINEアカウントを持っていない場合は、直接スマホでメニューサイトにアクセスして同様に注文してもらう。また、Okageのシステムを通して予約もできる

 キリンシティの江田雄太社長は「人手不足対策や業務効率の改善と、オーダーリングシステムの低投資での導入の両立を目指して開発した。これらの取り組みを進めることで利益率を『キリンシティ』の倍にすることを目標とする。また、蓄積した知見は、今後のキリンのクラフトビールへの取り組みに活用できるとともに、外食企業からキャッシュレスやセリフオーダーなどの相談を受けた際にも役立てられる」と話した。

 同店には「タップ・マルシェ」を4台設置し、〈496〉〈コープランド〉〈アフターダーク〉〈オンザクラウド〉〈デイドリーム〉などの11種の定番クラフトビールに、期間限定で入れ替える銘柄も含めて、常時12~16種を揃える。また、いずれも香りを閉じ込めたまま提供するため、ドイツ「シュピゲラウ」ブランドの3サイズのグラスで販売する。価格はS(テイスティングサイズ・120ml)400円(税別・以下同)、M(フレイバーサイズ・250ml)600円、L(ドリンキングサイズ・500ml)1200円。

 フードでは低温調理したチキンを砂肝やレバー、手羽中やモモなどの6部位から選べる〈コンフィ〉480円(2種盛りは680円、6種全てのマルシェ盛りは1080円)と、7種の野菜をココット皿に盛りつけ、3つの味わいを用意した〈ベジ煮込み〉580円(クラフトビールとのペアリングセット1100円)などを売りとする。

 22.7坪・38席で、客単価は「キリンシティ」と同額の3000円を想定。年間2万3000人の来客を目標とする。1号店で知見を積んだうえで、来年には「キリンシティ」があるエリアで2号店を出店する考えだ。

※関連ページ
「タップ・マルシェ」は業界にイノベーションを起こすのか【キリン】
ロイヤルHDが業界に先駆けて導入したセルフオーダーシステムとは【Okage】