コネクテッドロボティクス(東京・小金井、沢登哲也社長)が開発した自動たこ焼きロボット「Octo chef(オクトシェフ)」とソフトクリームロボット「レイタ」が、セブン&アイ・フードシステムズが展開するファストフード店「ポッポ」の幕張店に初導入される。同店は、イトーヨーカドー幕張店(千葉・幕張)の1階に10月17日にオープンするもので、コネクテッドロボティクスにとっては、関東で常時営業する店舗での導入は今回が初めて。
現在、長崎・ハウステンポスで営業している「オクトシェフ」との違いについて、コネクテッドロボティクスの沢登社長は、「しっかりひっくり返すスキルが向上し、設置がより容易になった。また、消耗品が長持ちするようになり、メンテナンスもしやすくなった」と説明した。
たこ焼きの味については、セブン&アイ・フードシステムズがこれまでの「ポッポ」の味をブラッシュアップ。外はカリッと中は熱々でトロッとした独自レシピを新たに開発した。たこ焼きは約20分で96個(12人分)作ることができ、ソフトクリームは約45秒で1個提供する。ちなみに、「ポッポ」では、たこ焼きロボットには「ハッピー」、ソフトクリームロボットには「ワンダー」という愛称を付けて親しみやすくした。今後、ほかの「ポッポ」での導入を進めると同時に、「ポッポ」で提供している〈黄金焼き〉(今川焼き)などもロボットで調理できるように、両社で協力して開発を進める予定だ。
さらに、セブン&アイ・フードシステムズが展開する「デニーズ」で導入するため、新たなロボットを開発する計画もある。下膳皿を仕分けてラックに入れ、洗浄後は食器を仕分け棚に入れる洗浄ロボットで、「研究室では、すでに実用段階にまで来ている」(沢登社長)という。セブン&アイ・フードシステムズの小松雅美社長は、「レストランの場合、調理現場にロボットを導入するよりも、洗い場の重労働を解消する方が貢献度が高いと判断した」という。
セブン&アイ・フードシステムズが今回、調理ロボットを導入した経緯について小松社長は「競争が激しくなり、今までのやり方では顧客ニーズに応えられない。一方で食のレジャー化が加速している今はチャンスでもある。そこで、省人化に加えてエンターテイメント性もあるロボットを導入することに決めた」と説明した。
通常、たこ焼きを作るスタッフは、まず最初に約20時間の研修時間が必要で、その後も熟練した技術の習得が必要となる。また、作り手はたこ焼き機の前から離れることができず、人によって味にバラツキが出やすいなどの課題もある。ソフトクリームについても、キレイに渦を巻く技術を身につけるための研修時間が必要で、人によって得手不得手が出る。そのため、今回の調理ロボット導入で、これらの課題を解決できるという。
コネクテッドロボティクスは、ほかにもフライを揚げたり、ホテルの朝食を作ったり、シェフと一緒に料理するなどのロボットアームの制御システムを開発中だ。沢登社長は「業務のすべてを自動化することは考えていない。食器を洗ったり、決まった作業で調理する〝ロジック〟はロボットが担当し、盛り付けやトッピングなど〝アート〟の部分は人が担うべきだと考えている」と話した。今後、2024年末までに同社開発のロボットを1000台提供することを目指す。