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AI搭載ロボットがたこ焼きを作る時代に?!~AIは人手不足の救世主になるのか~【コネクテッドロボティクス】

2019年2月26日 12:54 pm

たこ焼きロボットの実用化にみるテクノロジーの可能性

 2018年7月、長崎・ハウステンボスに、たこ焼きとアイスクリームをロボットが作る世界初の店舗「Octo Chef(オクトシェフ)」がオープンし、日本の大手メディアだけでなく、英国BBCにも取り上げられるなど話題となった。人手不足に悩む飲食店とロボットはどう共存していくのだろうか。この「オクトシェフ」を開発したコネクテッドロボティクス社長の沢登哲也さんを取材した。

 「オクトシェフ」では、たこ焼きとソフトクリームの調理をロボットが、接客・会計業務を人が担当し、通常3~4人で運営する店を1人で回している。4坪の広さで、ソース、ネギだく、明太マヨの3種の〈たこ焼き〉税込500円~と、バニラ、ストロベリ、ミックスーの3種の〈ソフトクリーム〉同400円~を販売。この店舗の主役である調理ロボットを開発したのが、コネクテッドロボティクス(東京・東小金井、沢登哲也社長)だ。

日本だけでなく英国のBCCからも取材を受けた

 同社の沢登社長は東京大学工学部在籍中に、NHK大学ロボコンでの優勝、ABS世界ロボコンでのベスト8などの受賞歴を持つ。大学院卒業後は、飲食店を経営したいとの想いから、何人かの外食企業社長の元を訪ねた。その結果、2008年に際コーポレーションの中島武社長に受け入れられ、新規店舗立ち上げの企画部に配属された。

 企画部ではあるものの店舗に入って一緒に働くことも多かった。その経験から、飲食店での長時間労働をロボットで改善したいとの想いをより強くした。09年にはマサチューセッツ工科大学発のベンチャ企業で、産業用ロボットのソフトウェア(ロボットコントローラ)の開発責任者を担当。11年に独立し、14年にコネクテッドロボティクスを設立した。

 当初はラーメンなどメジャーな食べ物の調理を自動化しようと考えたものの、ラーメンの自動化は難しく、どの業態であればロボットを最も効果的に活用できるか、考えあぐねていた。そんな時に、たこ焼きパーティーに参加する機会があった。

 そこで子供たちがたこ焼きを作る沢登さんの姿を見て楽しみ、味わって楽しんでいる姿に触れて、「見る」と「味わう」の二つの楽しみを与えられるたこ焼きは、ロボットに打ってつけなのではとひらめいた。楽しみを提供できることに加えて、たこ焼き業態の労働環境を見てみると、夏でも高温の鉄板の近くに張り付かなければならず、火傷の危険性も高い過酷な仕事であることから、ここにロボットを活用すれば、お客さんだけでなく、働く側も喜ぶのではと考えた。

 そこから、まずはたこ焼きパーティー用の小型ロボットを開発。そのたこ焼き機がコンテストで優勝したり、展示会で子供に喜ばれ、マスコミにも取り上げられたりしたことから、17年8月に本格的な事業化に乗り出す。  「オクトシェフ」を開発する際に一番こだわった点は、従業員と同じ空間で使える安全性の高い産業用協働ロボットを使うことだった。日本の飲食店は厨房スペースが狭いことから、人と同じスペースで安全に使える小型ロボットが必須だと考え、それらの条件を兼ね備えるロボットアームでの商品化を実現した。

 現在、協働型ロボットアームを製造しているメーカーは日本だけでも大手で10社程度あり、海外メーカーや中小・零細も入れると数えきれないという。そこで沢登さんは、たこ焼き専用のロボットアームを製造するのではなく、どのメーカーのロボットアームを使ってもたこ焼きを作れるように、AIを活用したロボットコントローラの開発に着手した。

 これはパソコンやスマートフォンのOSを想像すればわかりやすい。異なるメーカー製品でも、ウィンドウズやアンドロイドをインストールすれば使えるのと同じように、同社のロボットコントローラを導入すれば、どのロボットアームでもたこ焼きを作れるようにしたのだ。

 実際にロボットアームでたこ焼きを作らせる際に最も重要なのが、いかに器用さと食材の状態を見極める認識力を持たせるかだった。製品として販売するには、当然ながら一つひとつのたこ焼きを均一な焼き加減と大きさに整えなくてはならない。

 そのため、「焼き過ぎ」「焼きが足りない」「形が崩れている」「大きすぎる」「小さすぎる」などのタグをつけたたこ焼き4000個分をトレーニングデータとして取り込み、機械学習(ディープラーニング)を施したAIを開発した。 これにより、AIが画像を通してたこ焼きの形状、焼き色、傾き方などを判定し、傾きが不十分だったり、焼き色が薄いたこ焼きがあれば再度ピックで調整する。 このAIにより、48個のたこ焼きの状態を3~4秒で判定し、高速でアクションに移るロボットアームが完成した。外からの日の当たり具合でカメラに映る画像の色あいに違いが出ることなどにも対応し、天候や照明などの影響で味に差が出ることはないという。