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2024年の飲食店倒産件数が過去最多の894件に【帝国データバンク調べ】

2025年1月16日 10:57 am

 帝国データバンク(TDB)は、2024年の「飲食店」の倒産動向調査をまとめた。負債1000万円以上の法的整理を対象とした24年の飲食店の倒産件数は894件で前年(768件)比16.4%増加。過去最多だった20年(780件)を更新した。

 負債規模では10億円以上の倒産は全体の0.7%を占める6件にとどまり、1億円未満の小規模倒産が全体の87.7%を占める784件に上った。新型コロナの感染拡大による緊急事態宣言が発出された20年に飲食店の倒産件数は780件まで増えたが、個人や中小に実質無利子・無担保で融資するゼロゼロ融資や、休業・時短営業に伴う協力金など国・自治体による各種の資金繰り支援が講じられたことがあり、飲食店の倒産は22年には452件まで減少した。

 しかし、その後は支援策の縮小や終了、ゼロゼロ融資の返済時期到来に加え、円安などによる物価高が響き、資金繰りに窮する小規模事業者が再び増加。経済回復から幅広い業態で人手不足となるなかで人件費負担が増えたことも経営を圧迫した。

負債1000万円以上の飲食店の業態別倒産件数(2020~2024 年)。黄色の網掛けは過去最多を示す

 業態別(11業態)でみると、最も倒産件数が多かったのは居酒屋を主体とした「酒場、ビヤホール」で212件。以下「中華料理店、その他の東洋料理店」が158件、「西洋料理店」が123件と続いた。これらに加えて「そば・うどん店」(27件)、お好み焼き店やハンバーガー店などを含む「その他の一般飲食店」(65件)を含む5業態が過去最多を更新している。

 TDBでは大手にはコスト削減や値上げで業績が改善している企業もあるが、小規模事業者では各種コストが上昇しても消費者の節約志向を考慮して値上げをためらうことで収益改善が遅れ、厳しい資金繰りが続いている例が多いとする。そのため今後、中小を中心に倒産や休廃業は高水準で推移するとの見方を示した。