注文が入ってから料理が提供されるまでの時間は、顧客の印象に大きく影響する。店によってはスタッフの配置や時間帯によって、同じメニューであっても提供時間に大きな違いが発生し、その結果、顧客満足度を下げる要因となっていることもある。しかし、厨房のオペレーションについてはデータ化されていないことが多く、その原因や改善点を見つけ出せるかどうかは、店長やスタッフの能力や裁量に左右されることが多い。
さまざまな課題をITで解決することを目指すShock Tech(ショックテック、東京・新宿、四方田祐児社長)は、来店客がスマホでQRコードを読み取り料理を注文すると、料理提供までの時間を自動的に集計するオーダーデータプラットフォームサービス「LOOP(ループ)」(https://loop.shocktech.co.jp/)の提供を始めた。
売上や注文メニューなどのデータを活用するサービスはあるものの、オペレーションを可視化して課題解決につなげるサービスは少ないことから、同社はモバイルオーダーとキッチンディスプレイを組み合わせた独自システムを開発した。
QRコードを使って来店客がスマホに表示されたメニューから注文すると、キッチンディスプレイにその注文が表示される。厨房で調理が完了すると「提供完了」のボタンをタッチしてチビ伝票を印刷し、ホールスタッフに渡す。このデータを基にメニュー別、時間帯別、スタッフ別などの提供時間の違いや遅延率を算出して、どこに課題があるか、どこに改善する予定があるかを分析できる。
さらにキッチンディスプレイには、提供の遅延状況をリアルタイムで確認できる機能も搭載。各商品の標準提供時間を5~10分過ぎると青色、10~15分だと黄色、15分以上だと赤色で表示することで、ピーク時でもどの注文を優先するかの組み立てがしやすくなり、サービス向上につなげられるという。また、集計したデータをどのように活用するかのコンサルティングも行う。
MS&Consulting出身の四方田祐児社長は「売上だけで店長を評価すると、潜在的なリスクに気づけない。モバイルオーダーとキッチンディスプレイを組み合わせて提供時間をデータ化することで、料理、店、個人スキルのどこに問題があるかをコンサルティングできる。また、リアルタイムで遅延状況がわかるので、厨房での段取りがスムーズになり、顧客満足度の向上につながる。非接触型のモバイルオーダーなので、新型コロナ対策にもなる」と話す。
導入するには1店舗あたり初期費用10万円(税別・以下同)と端末代に、月額2万9800円と決済手数料3.24%がかかる。モバイルオーダーのメニュー表のデザインはメニューデザイン研究所が手掛けた。