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人手不足対応で飲食店の6割が従業員待遇を変更!DXやメニューの簡素化も【シンクロ・フード調べ】

2023年7月7日 2:35 pm

 飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」や飲食店に特化した調査「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)を運営するシンクロ・フードが、「飲食店ドットコム」を利用する経営者や運営者に、人材確保の観点から従業員の待遇改善について聞いたところ、採用率アップや退職者防止を目的に、直近1年以内に待遇の変更を「実施した」飲食店は58.4%という結果になった。

 「実施した」と回答した飲食店に実施事項を聞いたところ、「給与の引き上げ(ベースアップ)」が88.0%とダントツの結果に。次点は「従業員の休日増加(27.7%)」「柔軟性のあるシフトの導入(27.7%)」だった。

 また、従業員数が「やや不足している」、「とても不足している」と回答した人に、人手不足の今後の対策について質問。
 まず、人手不足がどの程度の期間続いているか聞いたところ、「1年以上(34.1%)」、「半年以上1年未満(24.6%)」と、新型コロナウイルスの感染法上の5類移行前から人手不足に陥っている飲食店が58.7%にも及ぶことがわかった。

 次に、このまま人材不足が続いた場合、どのような対応・打ち手を考えているかを聞いたところ、「従業員の待遇改善(41.3%)」「採用ターゲット・採用基準の拡大(34.7%)」という採用関連の項目がトップに。

 中には「店舗の閉業(12.6%)」を考える人もいる一方で、「特に対応・打ち手は考えていない(15.6%)」という人も一定数いる結果になった。

■さまざまな人手不足対策

 上記の打ち手について、具体的な内容を聞いたところ、さまざまな声が寄せられた。「従業員の待遇改善・採用強化」としては、給与アップのほか、「採用効率が期待出来る時期に媒体にお金をかける (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)」が寄せられた。

 また、「海外人材を入れる時が来るかもしれない (東京都/お弁当・惣菜・デリ/6~10店舗)」「タイミーなど、短時間、短期採用 (東京都/そば・うどん/1店舗)」といった、外国人採用やスポット採用の活用を検討する声もあがった。

 また、「セルフレジの導入等、必ず人間が対応しなくても良い業務を機械に置き換えていく(神奈川県/カフェ/6~10店舗)」など、「テクノロジーの導入、業務のアウトソーシング」で対策を行う店舗も。

 しかし、「アウトソーシングも考えているが費用の問題もありジレンマです(北海道/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)」と、費用面が課題になるケースもあるようだ。

 「営業時間の短縮・休業日の増加」では「予約数の制限、ランチ停止 (東京都/和食/1店舗)」といった営業方針の変更が挙がったが、なかには「営業時間の短縮(11時から20時)→休業日の設定(週1.2回休み)→閉店 上記からくる売上減少で家賃払えず閉店 (京都府/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)」と、悪循環に陥ってしまった人もいた。

 また、「調理に手間の掛かるメニューを無くした。営業時間を無理のない時間から開始するようにした (埼玉県/バー/1店舗)」「メニューを簡素化し、作業レベルを下げる事で、人員の受け入れ幅を拡大して、より多くの人材を対象として募集活動を行う(愛知県/和食/1店舗)」といった、「メニュー数の削減・簡素化」による人手不足対応を行うケースもあった。

 また、「仮店舗から自宅改装移転プラン (静岡県/和食/1店舗)」「不採算店を閉店し、儲かっている店舗へ人員を異動する (東京都/その他/11~30店舗)」など、「業態の変更・移転・閉店」などの対策を講じる店舗も見られた。

 この調査は、2023年6月14日~21日、飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)410人に実施した。